海岸沿いを車で走っていると、太平洋が太陽に照らされて輝き、水平線がくっきり見えていても、どうしても山側に目が行く。

 決して苦手ではなく、「浜辺で日焼け」願望は強いが、東日本大震災で犠牲になった親類がいるだけに「今、津波が来たら、どこに逃げればいいか」が気になってしまう。

 大船渡市にあった北里大三陸キャンパスに約20年勤めた同大の加戸(かど)隆介名誉教授らが先日、図鑑「三陸の海の無脊椎動物」を発刊し、市に寄贈した。

 同市などの海で採集した319種の無脊椎動物を紹介しており、加戸名誉教授は「『海は怖い存在』と思っている子どもたちが、海に興味を抱き、海を身近に感じるきっかけになれば」と発刊への思いを語った。

 年齢とともに動物も、昆虫も苦手になっていった。だが、大好物の三陸の海の幸、ウニもアワビもホタテもカキも無脊椎動物。そう考えれば一気に「動物」も身近な存在になった。

 スーパーや産直施設で目にすると必ずかごに入れる、今が旬のホヤ(脊索動物)も背骨がない。朝採れた殻付きホヤをむき、皿に盛り付けることなくワイルドに歯でかみ切る食べ方がお気に入りのスタイルだ。

 多様性が尊重される時代。こちらは食から、海と動物をもっと身近に感じようと思う。

(村上俊介)