新トレ@紫波さぷり

読み方・書き方、理解深く

 紫波町日詰のNPO法人紫波さぷり(細川恵子理事長)はこのほど、NIB講座「新トレ(新聞トレーニング)」を職員研修に取り入れた。新聞を活用して社会への視野を広げ、コミュニケーションを活性化。記事を参考に文書のスキルアップも目指している。

切り抜いた記事をもとに、それぞれの興味関心や考え方の多様さに触れる参加者=紫波さぷり

 岩手日報社社員が講師を務め、「伝える」をキーワードに研修プログラムを組んだ。講座は職員24人を8人ずつ3班に分け、班ごとに「新聞の読み方」や「分かりやすい文章の書き方」などテーマを決めた。3日に分けて講座を開催している。

 1回目は20日、細川理事長ら8人が参加し、記事の読み方の基本からスタート。見出しは少ない文字数で記事の概要を知らせること、一般的な記事は最も大事なポイントや結論から書かれていること、写真には伝えたい要素が凝縮されていること-など特性を理解した。

 桜、桃、トウモロコシ、ブドウ、クリ、干し大根-。これまで紙面を鮮やかに彩った紫波の四季の写真が紹介されると、歓声が上がった。

 後半のワークショップは、4人1組で活動。前日まで3日分の本紙に目を通し、気になる記事を切り抜いて感想や意見を発表した。続いて、1枚の模造紙に各自が選んだ記事を貼り、コメントを書き込んだ。『リンゴ授粉にドローン』という記事の周りには「うまくいけば農家の負担が減る」「そうだね。一つ一つ手作業は大変」とコメントが連なり、思いを共有した。

 2回目は26日に開催した。この日のテーマは「分かりやすい文章の書き方」。普段、案内文や連絡事項など文章を書く機会が多い職員を中心に受講した。

 文章は、伝える相手がはっきりしないまま書き始めると、内容がまとまらない。講師は「事前に文章の読み手は誰か、読み手に何を伝えたいかを明らかにしてから、書くための材料を集めるのがポイント」と呼び掛けた。

 ワークショップでは、職場の団体旅行の案内文を例題に実用文の改善を試みた。「具体的な日程は」「宿泊場所は」「交通手段は」。参加者は課題を出し合い、記事作成の基本「5W1H」を念頭に、足りない情報を一つ一つ確認。分かりやすい文章を完成させた。

 細川理事長は「新聞は写真を見るだけ、見出しを見るだけでもよく、堅苦しく考えなくていいことが分かった。新聞が好きになったという職員もおり、これからも地域のことをたくさん知りたい」と関心を高めていた。

 同講座の最終回は6月9日、記事の読み方をテーマに行われる。


地域に目を向け情報活用

細川恵子理事長 一問一答

 NPO法人紫波さぷりの細川恵子理事長(59)に、社員研修にNIB講座を取り入れた理由や、新聞を活用する意義を聞いた。

(聞き手=NIE・読者部 小野寺陽子)

「孤立せず、地域に出て行く姿勢が大事。地域情報が多く信頼感のある新聞は大事にしたい」と語るNPO法人紫波さぷりの細川恵子理事長

-講座を受講した理由は。

 「新型コロナウイルスの感染対策で職員同士の交流が減る中、何か今後に生きることで、職員の視野も広げられる機会がほしいと感じていた。社会福祉関係の講習はたくさんあるが、今は時事や身近な地域のこと、社会に興味を持ってほしいとの願いがあり岩手日報社のNIB講座を選んだ。障害があってもなくても楽しく暮らせる地域をつくるのが当会の目的。障害や高齢を理由に孤立するのではなく、私たちから社会に出て行く姿勢を大切にしたい」

-参加してみての印象は。

 「記事の切り抜きを模造紙に貼って紹介し合う『まわし読み新聞』は、各自の興味関心がわかり、面白かった。毎日顔を合わせていても自分のことを話す機会はなかなかない。記事を通して普段とは違う一面を垣間見るようで新鮮だった」

 「当会には、利用者さんに免疫力の低い子や、マスクを付けるのが難しい子もおり、感染対策の徹底のため全体ミーティングも研修も昨年からほぼ行っていない。一方で、言葉で表現するのが難しい利用者さんのために職員同士のコミュニケーションは重要で、悩ましく思うことも多かった。講座が、関係を深めるきっかけになれば良いと思う」

-自身と新聞の関わりは。

 「人生を楽しむために『自分の好き』を大事にしている。役に立つ立たないよりそっちの方が大切だと思うこともある。だから、多様な話題、地域のニュースに触れられる新聞は重宝。心に残る記事はスマートフォンで撮影してキープしている。新聞は堅いといわれるが、信頼性が高くネットニュースに比べれば格上。だからこそ、その媒体を選ぶことで自分自身が高まった気持ちになる」

-講座の内容をどう生かす。

 「新聞は取り置けばいつでも読み物になる。たくさんの前向きな言葉が載っており〝言葉の貯金箱〟という発想もすてき。記事を切り抜くことで初めて自由に自己表現ができた人もいるとの話を聞き、障害のある方の一つの表現方法になるなど生かし方はいろいろあると知った。参加した職員も、地域に目を向けたり文章の参考にしたりと、これまでとは見方を変えて活用する気持ちが出てくるだろう」


記事に注意引く工夫実感・小地沢陽江(こちざわ・あきえ)さん

 これまでは好きな記事を探して読む、というスタイルだったが、記事の配置に意味があり、見出しの大きさでもニュースの価値に差をつけていると知り、見方が変わった。字数が多い文章は読む気にならず書く際は気をつけているが、書き出しと注意を引く見出しの付け方で伝わり方が変わると実感。工夫してみたい。

ネットにない話題が豊富・内藤沙織さん

 記事の切り抜きを紹介し合うワークショップでは、誰が何に興味があるのかと意外な一面を知り、楽しめた。新聞に地元の地名が出るとつい目がいくが、確かにネットには出てこない話題ばかり。地域の話題を日々拾う地方新聞の良さを感じている。新聞社で働く人の思いを身近に感じ、手に取りやすくなった。

実践したい伝わる書き方・渡辺貴之さん

 新聞の膨大な情報量を短時間でどうやったら読み切れるのかと疑問だったが、見出しとリードで要点をつかめる工夫があると知りハードルが下がった。おたよりなどの執筆作業は、書きながら迷走し嫌になってしまうことがあるが、読み手を意識し書き出しを工夫するだけで伝わりやすくなる。今後、実践したい。

新鮮だった新聞社の視点・野崎理恵子さん

 普段の文章執筆は自己流で悩むことも多かったが、新聞社の視点で具体的な構成を学び新鮮だった。「何を伝えたいのか」を、文章だけでなく写真、見出しのそれぞれで意識するだけでも〝わかりやすさ〟は変わる。利用者さんや保護者の方々へのお知らせ、法人のフェースブック投稿など、幅広く応用できる技術だ。

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