リレーエッセイ イワテライフの楽しみ方

橋本充司さん第2回(全2回)

当店の若手3人衆。並んでいるのは「たぬきさん」(たぬきケーキ)とかりんとう

 年月をかけねば手に入らない「歴史」という武器を持っている岩泉町のお菓子屋「志たあめや」。閉店すべきではないと思いました。商品や経営方法などを見直したら、状況は変わるのではないか-。かくして人生2度目の一念発起、妻と店を手伝うという道を選択しました。私にとって「さらに大きな冒険」です。

 それから丸5年。いろいろなことがありました。まず2016年の台風10号。その後、同居の祖母の闘病と死。そして新型コロナウイルス。つらい日々でしたが、逆にそのおかげで、少しずつではありますが家族一人一人が成長し、何にも代え難い素晴らしい結果を得ました。妻の妹が菓子職人になったこともその一つ。家族の中から職人が誕生することは、当店の約190年の歴史の中で初めての出来事で、さらに妻の弟も他店で修業中です。

 こうした若い力と共に、店の歴史が途切れないようにしたい。そして、前職での心残りをばねに、地域に貢献できる店にしたいと思っています。そのためにもまずは店を繁盛させて、子どもや孫が安心して暮らせる状況を調えたい。そしていつの日か、当店目当てに岩泉に買い物客がどっと訪れることを思い描いています。

今月の人 橋本充司さん
1983年生まれ。大阪出身。東京でのサラリーマン生活を経て、東日本大震災の復興支援活動のため岩手に移住。現在は妻の実家である菓子店「志たあめや」にて、製造、企画、デザイン、販売、出店など何でもできる人になるべく奮闘中。