新トレ@小原建設

 北上市村崎野の小原建設(小原志朗代表取締役)はこのほど、新入社員研修の一環として岩手日報社のNIB講座「新トレ(新聞トレーニング)」を取り入れた。若手の視野と興味を広げ、社内外のコミュニケーションに生かす狙いで、県内の建設業界では初の試み。短時間で幅広く情報を収集し、日常の仕事に役立てるこつを学んだ。

紙面の活用法に理解

一つの記事を糸口に互いに発表し合う参加者。全国や地域のニュースに考えを深める

 新入社員7人が参加し、岩手日報社の社員が講師を務めた。3回講座の2回目は22日に同市北工業団地の北上市技術交流センターで開催。結論が先に書かれている新聞の特徴を生かし、見出しと第1段落を中心に10分で記事に目を通す読み方に挑戦。朝の忙しい時間に効率的に情報を集める方法を実践した。

 情報の集め方として▽旬なキーワードに注目▽注目した記事の隣に目を向ける▽テレビやネット情報の深読みに使う-などが紹介され、社会の流れを知る大切さや、興味のある記事を足掛かりに視野を広げる「新聞の一覧性」に理解を深めた。

 コミュニケーション力を高めるワークショップでは、事前に切り抜いた新聞記事を活用し、グループに分かれて1分ずつのプレゼンに取り組んだ。相手の関心がどこにあり、どんな考えを持っているのかを理解し、楽しく交流を深めた。

 当初はぎこちない様子だった新入社員たちも、少しずつ要領をつかみ、社会人としてワンランク上の会話術を体感した。

 若者が活躍できる会社づくりに力を入れる同社では、各分野から広く講師を招き研修を行っており、新トレもその一つ。現場では経験豊富な年配者とのコミュニケーションが求められるため、社会情勢や地域の情報にどうアンテナを張るかが課題の一つとなっている。

 同社の藤本徹総務課長は「成長に必要なヒントはどんどん出していく。いかに吸収し、自分の頭の中で化学変化を起こさせるかは本人次第。新トレを業務だけではなく、人生にも生かしてほしい」と激励した。

 同講座の最終回は30日に同センターで行われる。


仕事へ意欲と誇り醸成

小原学専務に聞く

 小原建設の小原学(がく)代表取締役専務(51)に、新入社員研修にNIB講座を取り入れた理由や、新聞と活字に触れる意義を聞いた。

(聞き手=NIE・読者部 鈴木弘樹)

「社員が誇りを持って働けるようサポートをすることが良い会社づくりにつながる。新トレもその一つ」と語る小原学代表取締役専務=同社

-今回、社員研修で初めて新聞講座を企画した狙いは。

 「今は多くの人が会員制交流サイト(SNS)を使って『いいね』など短い単語で用件を済ますが、仕事では長文メールで状況を伝える機会もある。その際に単語とか文章を吟味して作らないと、誤解を招いて、お客さまに不快な思いをさせてしまうこともあり得る。新聞記事は話し言葉ではなく、吟味した文章でコンパクト。触れる機会が必要だと思った。新聞から学んだことを、特に内部への広報に役立てて、仕事へのやる気やプライドを醸成したい」

-新入社員に何を望んでいるか。

 「『石の上にも3年』。3年間は会社にいて今の仕事を好きになる努力をすれば、最初は冷たかったり、ごつごつした石の上でも、だんだんぬくもりも伝わってくるし、座り心地もなじんでくる

 「仕事は必要だからあるのであって、どんな仕事も貴い。新入社員に言っているのは、建設会社はエッセンシャルワーカーだということ。ほこりにまみれて、夏の暑さや冬の大雪の中でも外で働く。災害があれば現場にも出向く。大変だがやりがいがある。こういう職業を選ぶ若い人は少ないので、希少価値が上がる大切な仕事だと教えている」

-新聞と活字に触れる意義は。

 「本を読む習慣はあった方がいい。よい仕事をする人はよい人間性を持っている。いくら能力があっても周りの人の協力が得られないと、いい仕事はできない。周りに慕われる人間になるために、本を読んで人間性を高める努力が必要だ。何十年、何百年と読み継がれる良書には素晴らしい言葉が詰まっている」

-自身と新聞の関わりと新聞に望むことは。

 「毎日、業界紙や岩手日報、中央紙を読む。じっくりと言うよりは見出しを中心に目を通す感じだ。中央の政治経済や国際ニュースはネットでも見ることができるが、やはり地方の細やかな情報が掲載される地方新聞は必要だ。岩手日報には、見えないところで頑張る人にもっと光を当ててほしい。新聞に取り上げられた人はうれしいもの。その人が何十年か後に振り返った時に励みになる」


学んだこと広報に生かす・佐々木結衣さん

 教育大学出身だが、建設会社にも広報企画の仕事があることを紹介されて入社した。新聞から学んだことを広報に役立て、働く仲間の姿や現場の様子を写真や文字で伝えて、みんなの仕事の励みにしたい。講座のおかげで新聞を読もうという気持ちが高まった。

幅広い情報を収集したい・田山 栄祐さん

 情報との向き合い方が分かったのは収穫。スマホでは自分の興味に情報が偏るが、新聞はほかのニュースも目に飛び込んでくるし、一見難しそうでも、丁寧に書かれているので理解できる時事ばかり。多様な人と関係を築くため幅広い情報収集は大切と感じた。

考え深まり視野に広がり・遠藤 大夢さん

 短期間だが実際に記事選びや切り抜きを習慣にしてみると、考えが深まり視野の広がりを感じた。会社や地元が新聞で話題になると「こんなことしているんだ」「頑張っているんだな」とうれしく、誇りに思う。地域で働く上で、地域を見直す良い機会になる。

記事読み周囲から信頼を・菅野 颯姫さん

 女性の施工管理の技術者は少ない。年齢の離れた人とのコミュニケーションに新聞を活用し、周りに信頼される技術者になりたい。記事をプレゼンし合う取り組みでは、自分と違う他の人の意見も聞けたし、自分の考えを伝えることは相手のためにもなると感じた。

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