県国際リニアコライダー(ILC)推進協議会(会長・谷村邦久県商工会議所連合会長)は28日、東北誘致の実現を目指して講演会を開いた。ILCの前身となる準備研究所の設立を目指す「国際推進チーム」の取り組みが進展する状況など、国内外の最新動向を紹介。期待される研究成果や経済波及効果など、誘致実現の意義を共有した。

 盛岡市のホテル会場、オンラインを含め約780人が参加。高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)の道園真一郎教授、受け入れ態勢整備を進める東北ILC事業推進センター代表の鈴木厚人県立大学長、関係機関の協力を図るILC推進パネル委員長で東京大素粒子物理国際センターの山下了(さとる)特任教授の3人が講演した。

 国際推進チームの部会長を務める道園氏は準備研究所の中間リポートが「5月上旬には公開される見通し。組織体制や技術課題などをまとめている」とし「(来年春を目指す)準備研究所に移行すると実際の建設に向けて動きだす」との見通しを語った。

 鈴木氏は「世界から送られてくる部品を組み立て、テストし、保管する施設が必要になる。今後詰める」と説明。先進地の欧州合同原子核研究所(CERN)に触れ「これだけベンチャー企業が立地する。地域拠点を検討しなければいけない」とも述べた。

 山下氏は「研究対象はヒッグス粒子が中心だが、新しい素粒子が見つかる可能性が大きい」との見方を示した。実現すれば世界から研究者、技術者が集まるほか、加速器の産業応用の幅広い可能性を紹介し「コストはかかるが、日本社会として意義を議論するタイミングだ」と訴えた。

 谷村会長は「政府予算の概算要求に準備研究所の予算が盛り込まれることが必要だ。関係団体と連携を強化し、国家プロジェクトとして実現させたい」と決意を示した。