リレーエッセイ イワテライフの楽しみ方

橋本充司さん第1回(全2回)

 
隆盛だった1938(昭和13)年ごろの「志たあめや」。現在88歳の当店代表(左前)がまだ幼い

 2011年3月11日は、当時勤めていた東京の会社にいました。紆余(うよ)曲折は省略しますが、「この時代に生きた者ならば」と一念発起して東日本大震災の復興支援の事業に応募したところ、岩泉町の経済観光交流課に派遣され、お手伝いをすることに。こうして岩手に移住しました。

 復興支援という名目や自分の決意とは裏腹に震災復旧復興に直接的に関われない仕事で、葛藤はありましたが、「観光の町での観光振興もまた復興」と切り替えて仕事に臨みました。が、もともと能力が高いわけでもないので、良い成果を上げられない。観光名所や商店街でイベントなどを実施しましたが、関係者を含めた全ての方に喜んでもらえるような形にすることの難しさを痛感し、挫折のようなものを味わいました。

 そうこうしているうちに、同じ志で仕事に臨んでいた女性と結婚。その女性の実家が、町内で約190年続く老舗のお菓子屋「志たあめや」でした。ところが当時店は、その長い歴史に幕を下ろさねばならないかも…という危機的な状態。寒さが嫌いな私にとって、岩手への移住が「人生最大の冒険」と思っていましたが、この後さらに大きな冒険が待っていたのです。

今月の人 橋本充司さん
1983年生まれ。大阪出身。東京でのサラリーマン生活を経て、東日本大震災の復興支援活動のため岩手に移住。現在は妻の実家である菓子店「志たあめや」にて、製造、企画、デザイン、販売、出店など何でもできる人になるべく奮闘中。