沿岸支局生活も2年目を迎えた。これまで、東日本大震災の被災者の方々を取材する中で「震災の風化が進んでいる」という声を多く聞いてきた。一方、震災の教訓がしっかりと受け継がれていると感じた出来事があった。3月20日に大船渡市、一関市、住田町で震度5弱を観測した地震だ。

 発生時、大船渡市大船渡町のライブハウスで高校生がまちづくりを提案するイベントを取材していた。大きな揺れで建物がきしみ「地震です、地震です」と緊急速報が鳴り響く。

 直後に大船渡を津波が襲う心配はないとの情報が届いたが、高校生ら参加者は高台の大船渡保育園へ避難を開始した。一緒に避難したが、情報をうのみにせず真剣な表情で避難する高校生の姿が印象的で、学校や地域で行う訓練で磨いた意識の高さを感じた。

 大船渡保育園に避難所開設の指示は出ていなかったが、職員が駆け付け鍵を開けてくれた。聞くと、どんな地震でも必ず鍵を開けに来ると言う。避難する住民を考えた親切な対応に頭が下がる思いだった。

 できれば経験したくない津波避難だったが、当時幼かった高校生へ震災の教訓が受け継がれているのがうれしかった。何年先も同じ思いでいてほしい。

(清川航矢)