リレーエッセイ イワテライフの楽しみ方

早坂大輔さん第1回(全2回)

 
書店「BOOKNERD」は、昔ながらの風情が残る紺屋町で営む

 仙台市で生まれ、秋田市で育ったぼくは、盛岡市には縁もゆかりもありません。そんなぼくがどうしてこの盛岡市で書店を開業することになったのか。ぼくが秋田市の出身であることが分かると、不思議がられるお客さまが今でもいらっしゃいます。

 きっかけはサラリーマン時代でした。転勤で1年間だけこの街に住むことになったぼくは、この街にすっかり魅了されてしまいました。ゆっくりと文庫本のページをめくることのできる落ち着いた雰囲気の喫茶店や親しげにぼくを誘うソウルフードたち。また、中心に川が流れている街の風情や穏やかで奥ゆかしい人びとの心遣いは、慌ただしく仕事に追われ毎日を送っていたぼくの気持ちを鎮めさせ、癒やしてくれました。

 紆余(うよ)曲折があり、度重なる転勤や残業続きのサラリーマン生活に疲れたぼくは、ある日自分の好きなことだけをして生きていこうと決めました。そして好きなことをするのならば、好きな場所に住もうと考えた時に真っ先に脳裏に浮かんだのは、盛岡の街並みや中津川を歩く人びとの風景でした。ぼくはどうしてもこの盛岡でもう一度暮らしたくなったのです。

今月の人 早坂大輔さん
1975年生まれ。サラリーマンを経て、2017年に新刊・古書店「BOOKNERD」を開業。書店経営の傍ら、出版も手掛ける。
主な出版物に、くどうれいん著「わたしを空腹にしないほうがいい 改訂版」。