花巻生活も残すところ数日-。事務の女性に「行ってきます」と元気よく声を掛け、支局を出ようとしたまさにその時。手からカメラが滑り落ち、勢いよく床に落下。深呼吸して手に取ると、案の定フィルターが割れていた。

 思い返せば支局勤務の2年半、トラブル続きだったが毎日が新鮮だった。

 花巻市内でクマの出没や火災が発生すれば、車を走らせて道に迷い、大迫町で早池峰山の山開きが行われれば、満身創痍(そうい)で山に登り、石鳥谷町にリンゴ農家があれば、収穫の時季に行って蜜入りリンゴのおいしさに感動し、東和町に全国から赤ん坊が集まれば、豆力士の豊かな表情に元気をもらった。

 今では取材先で地域の方たちに温かい声を掛けられ活力をもらい、カーナビを使わず現場に向かうことも。ブドウ農家の努力と醸造所の技術を凝縮したワインのように濃密な時間を過ごすことができた。

 昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で、伝統的なまつりやイベントが中止に。イギリス海岸や鳥谷ケ崎(とやがさき)公園といった桜の名所で鮮やかな花が咲いていたが見物客は少なかった。コロナがいち早く収束し、活気あふれる日常が戻ってほしいと強く思う。

 これからもファンとして足を運び、いつの日か市民から「はなまき通」と呼ばれるようにナリタイ。

(斎藤拓真)