国際会議のリニアコライダー・ワークショップ(LCWS)は日本時間の18日夜から19日未明にかけてオンラインで全体会議を開き、4日間の日程を終えた。国際リニアコライダー(ILC)計画を巡る米国の状況報告で「2024年度予算で措置される可能性がある」との見方が示された。

 米SLAC国立加速器研究所のマイケル・ペスキン教授は、米国における素粒子物理学の将来計画「スノーマス2022」について説明。この計画を基にして米国の科学諮問委員会(P5)が、予算措置に必要となる素粒子物理学の戦略を策定する流れを示した。

 その上で「ILCにとって非常に重要な段階に入っている。スノーマスとP5からの協力な支持があれば、米国の24年度予算で措置される可能性がある」と言及。「これが実現しなければ次の研究所計画を長い間待つことになる。このチャンスを逃さないようにしよう」と強調した。

 欧州合同原子核研究所(CERN、スイス)のスタイナー・スタプネス直線型加速器研究リーダーは「欧州では(ILCの前身となる)準備研究所の設立を目指してさまざまな準備が整い、(関係国への)資金提供の要請へ向かっている」と説明。CERNのヨアヒム・ムニック調査研究・情報処理担当ディレクターは「準備研究所の設計に当たっては、資材や人材の見積もり、インフラの必要性や利用可能性などを明らかにする」と語った。

 ILCは地下約100メートルに直線型加速器(初期整備延長約20キロ)を持つ世界最先端の研究施設。素粒子の電子と陽電子を光に近い速度でぶつけて未知の物質や働きなどを調べ、宇宙創成の謎に迫る。岩手、宮城両県にまたがる北上山地(北上高地)が候補地とされ、日本政府が誘致の可否を検討中。順調なら、35年ごろの運用開始が見込まれる。