国際会議リニアコライダー・ワークショップ(LCWS)の参加企業の一つ、西和賀町沢内の設備工事業・近藤設備(近藤正彦社長)は、国際リニアコライダー(ILC)計画への参入を目指している。得意とする配管技術を生かし、ILCの実験で生じる熱を冷却するシステムの開発を進めるほか、地元の豊富な雪資源を冷却水に活用する形で情報処理拠点を同町に誘致する構想も練っている。

 暖房設備や給排水衛生設備、工場などの配管の加工や施工を手掛ける同社は、最新の3次元システム、自動溶接機・切断機を備え、設計から加工まで自社完結できるのが強み。地下100メートルのトンネルに延長20キロもの巨大装置を設けるILCに配管技術は重要で、昨年から参入に向けた研究を続けてきた。

 昨秋にはILCを推進する高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)や広島大、東北大、岩手大、県工業技術センター、民間企業などの産学官グループの一員として、素粒子の陽電子を発生させる装置「陽電子源」に関する共同研究に着手。ILCの実験では装置の稼働で熱が発生し、冷却が必要となるため、開発を進める予定だ。

 ILCにつながる研究関連の事業では実績を積んでおり、1月にはKEKの超伝導設備の配管図面の作成を受託。複雑に入り組む配管を、自社の高度な3次元スキャナーを駆使して1カ月ほどで「見える化」した。国などが東北大に建設する次世代放射光施設の冷却用配管工事も受注済み。今後は、ILCの素粒子物理学実験で得られる大量の情報を処理・保存するデータセンターを西和賀町に誘致し、装置の冷却に豊富な雪を生かす方策を検討する。

 日本時間の16日夜、LCWSで同社の取り組みを発表した滝沢信一管理部長(58)は「地元が有する高い技術や豊富なエネルギーを世界にアピールし、他の地場企業と連携しながら地域を挙げて参入したい」と意欲を示す。