15日夜から16日未明にかけて開かれたリニアコライダー・ワークショップ(LCWS)の初日全体会議で、国際リニアコライダー(ILC)の実現に向けた状況報告が行われた。ILCの前身となる準備研究所の設立を目指す国際推進チームは、骨格をまとめた中間リポートが「1カ月程度でまとまる」との見通しを示した。

 同チームの議長を務めるスイス連邦工科大ローザンヌ校の中田達也名誉教授は、中間リポートについて、組織・運営体制や機械工学設計、物理研究の工程、コストなどを盛り込むとした上で「政治的な進展を踏まえて組織体制を構築し、準備研究所を立ち上げる方法を探っていく」と語った。

 同チームの拠点となっている高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)の山内正則機構長は、ILCを推進する国際将来加速器委員会(ICFA)が近く「日本の文部科学相が外国政府関係者を協議に招くことを楽しみにしているとの声明を出す」と述べ、日本が誘致に積極的な姿勢を示すことが国際社会から求められていることを強調した。

 米政権は共和党政権時代に、日本でのILC実現を歓迎する姿勢を示し、現在は民主党政権に移行した。同チームの米国代表のカリフォルニア大アーバイン校のアンディ・ランクフォード特別教授は「米エネルギー省は(日本が)テーブルに着くことを熱望するだろう」とし、米側が引き続き日本での実現を支援するムードにあることを強調した。

 ILCは地下約100メートルに直線型加速器(初期整備延長約20キロ)を整備する世界最先端の研究施設。素粒子の電子と陽電子を光に近い速度でぶつけて未知の物質や働きなどを調べ、宇宙創成の謎に迫る。岩手、宮城両県にまたがる北上山地(北上高地)が建設候補地とされ、日本政府が誘致の可否を検討中。順調に進めば、2035年ごろの運用開始が見込まれる。