緑と本に囲まれた時を経て、イラストの道へ
リレーエッセイ イワテライフの楽しみ方
さいとうゆきこさん第1回(全2回)

幼少期から高校生の頃にかけて、転勤の多い親の仕事の都合で各地を転々としながら子ども時代を過ごしました。ある時は福島の山の中、またある時は茶畑香る埼玉のとある街、果ては北海道の稚内まで。当時から絵を描くことは好きでしたが、どちらかといえば自然に恵まれた環境の中で、木登りや崖登り、秘密基地づくりに精を出し、友人とイモリを求めて探検に繰り出したりと、日がな一日外で走り回っているような子どもでした。今でも植物や自然をモチーフにした絵を描くことが多いのは、そんな幼少期の経験が染みついているからかもしれません。
その半面、読書も大好きで柏葉幸子さんや工藤直子さんの著書は何度も繰り返し読んでいました。やがて小学校中学年の頃には、「自分だったらこの場面をどう描くだろう?」と本の挿絵を描く仕事に憧れを抱き始めていました。
後に、岩手日報での連載をきっかけに憧れだった柏葉さんの小説の挿絵を担当することになるわけですが、「人生何があるかわからないね」と当時の自分と語り合いたい今日この頃です。
今月の人 さいとうゆきこさん