山田町船越 漁業 小林秀人さん(26)

 山田町船越の漁業小林秀人(ひでと)さん(26)は東日本大震災発生時、山田高の1年生だった。自宅が被災し、避難所生活で何もできない自分に感じたもどかしさと後悔を胸に、海へ挑む。

 大浦漁港から父の小型漁船勝運丸に乗り、ホタテやワカメの養殖に励む。漁師になって5年。苦手だった早起きもすっかり慣れたが「技術を覚えるのは難しい」。

 大地震の後、家族で自宅裏の高台に逃げる途中、黒い波が防潮堤を越えた。自宅は1階が浸水し、避難所暮らしが始まった。給水や掃除を手伝ったが「最低限のことしかできなかった。もっとできることがあったんじゃないか」とうつむく。

 その後悔が、今の仕事の原動力になっている。「山田のため、家族のために働く」。大浦地区で20代の漁業者は小林さんのみ。これからを担う地域の光だ。

 多くの命を奪い、悲しみを残した震災。高校の同級生も2人亡くなった。「忘れたくないし、他の同級生も忘れないでほしい。震災でつらい思いをした人が毎日笑顔で暮らせるようなまちになるよう、自分にできることをしたい」

 決意を胸に、古里の海に生きる。