昨年6月に日本遺産に認定された二戸市と八幡平市の漆文化を伝える「“奥南部”漆物語~安比川流域に受け継がれる伝統技術~」。地域が誇る漆文化について、両市の小学校では、新聞を活用したり壁新聞作りに取り組むなど、NIE(教育に新聞を)活動を展開し、学びを深めている。新聞を通じて情報を収集したり発信する力を育むとともに、地域への誇りや愛着を深めている。

《二戸市・浄法寺小》 魅力考え家族に紹介

家族に向け、浄法寺漆について学んだ内容をまとめる浄法寺小6年生

 「新聞を活用し、『奥南部 漆物語』について、お家の人に紹介文を書こう」。二戸市の浄法寺小(菅原佳子校長、児童109人)6年生20人は2月初旬、総合的な学習の時間で、浄法寺漆に関する学びの成果を家族に向けて児童それぞれの言葉でまとめた。

 授業は、「考えよう 伝えよう 未来の浄法寺~浄法寺の歴史・文化~」がテーマ。浄法寺漆について新聞を使って学ぶとともに、昨年度から継続して学習してきた内容も踏まえ、魅力を発信することが狙いだ。

 冒頭、担任の高橋歩教諭は「新聞を読んで分かった漆のすごさを、班ごとにまとめてみましょう」と呼び掛けた。

 「浄法寺漆は、丈夫で長持ちする国内最高級の漆」「この地域では、縄文時代から漆を生活の中に取り入れていた」「漆器生産は一時途絶えたが、地域の人の努力で復活した」-。児童は、漆に関する情報を付箋に書き、各班で共有した。

 次に、これまで学んできた総合学習の内容を振り返り、情報を追加。集めた情報の中から、児童それぞれが家族に伝えたいテーマを決め、ワークシートに書き込んだ。

 「事実と意見を分けて書きましょう」と高橋教諭のアドバイスを受けながら、漆について「熟練の技で採取されている」「浄法寺漆の歴史」「いろいろな使われ方がある」など、それぞれのテーマで紹介文を書き上げた。

 杉沢彩音さんは「地域の人のおかげで受け継がれているのがすごいと思った」と受け止め、堀内悠人君は「漆かきや木地(きじ)作りなど、多くの手間をかけて一つの漆器ができていることを家族に伝えたい」と意気込んだ。

 NIEに関して、子どもたちは昨年度から週末課題で新聞記事のスクラップと要約に取り組んできた。高橋教諭は「難しい記事でも読んでみようという意欲の高まりが見える。文章も、より具体的に自分の意見を表現できるようになってきた」と効果を実感している。

 

《八幡平市・安代小》 壁新聞や意見の交流

漆塗り体験を壁新聞にまとめた安代小4年生

 「世界にほこれ、安比ぬり」。八幡平市の安代小(国安裕之校長、児童86人)では、漆塗り体験を壁新聞にまとめたり、新聞を活用して意見交換するなど学年に応じて多角的にNIEに取り組み、地域文化への理解を深めている。

 4年生10人は、昨年12月に同校近くの安比塗漆器工房でミニスプーンへの漆塗りを体験。2学期末、模造紙2枚分の大きさの壁新聞にまとめた。

 カラフルな見出しが躍る壁新聞。子どもたちは、自分たちの体験や同工房で「取材」した内容を振り返り、▽漆塗り体験の内容や感想▽安比塗りの歴史▽同工房で働く人の思い-など、複数の切り口で記事を書き分けた。

 「漆がよくかわくのは、梅雨の時季」「漆は重ねて6回ぬる」「働く人たちを見て、『安比ぬりってすごいな』と思いました」など、地域が誇る漆文化や携わる人たちへの理解を深めながら、感じたことを素直に伝えている。

 記事や見出し、イラストなど役割分担し、約1週間かけて完成させた。勝又璃音(りおん)さんは「低学年にも読めるよう、記事に出てくる漢字に読み仮名を振るなど工夫した」と満足げ。関来海(くるみ)さんは「漆のことをたくさん知れた。1本の木から、たった200ミリリットルしか漆が採れないと聞き、びっくりした」と振り返った。

 一方、6年生14人は2月中旬、新聞を活用して2人1組で意見交流した。新聞の中から注目した話題を選び、感想を伝え合った。

 小林晃大(あきひろ)君は、浄法寺漆が中尊寺金色堂や金閣寺などの修復に使用されていることに触れ、「受け継いでいかなくてはならない大切な文化だと思った」と考えを発表。立花蒼太郎君は、「はるか昔から使われ、現在まで地域に伝え続けられているのはすごい。八幡平市の誇りに感じる」とうなずいた。

 国安校長は「地域の良さを学ぶことで郷土を愛する心を育み、将来的に地域を背負って立つ人材育成にもつながってほしい」と期待を寄せる。