先月22日に200回の節目を迎えた宮古商工高の機械科津波模型班の実演会。宮古工高時代から市内外の小中学校などで出前授業を続けてきた。

 指導する元実習教諭の山野目弘さん(68)が「津波はいつか必ず来る」と東日本大震災前の2005年に始めた。模型製作や実演会のほか、田老地区に生徒を連れて行き、津波伝承に取り組んだ故・田畑ヨシさんの話を聞くなど津波への理解を深めた。

 あの日、多くの命が奪われた。09年度模型班のOBで山田町でうどん店などを営む川村将崇さん(28)は「命を守ろうと啓発してきた分、余計つらかった」と震災後は思い詰めて眠れなかったという。

 それでも「いまだに『おかげで助かった』と言われる」と活動の意義をかみしめていた。

 震災直後は、さまざまな事情があり、「津波」を子どもたちに披露することに葛藤もあったと思う。命を守る大切さを伝え続けてきた生徒たちに改めて頭が下がる思いだ。

 震災から間もなく10年。今後は津波の記憶が薄い世代が模型班として活動していくことになる。20年、30年と時間の経過とともに記憶は風化し「いつか来る津波」は近づいてくる。

 津波防災の啓発は、これからが正念場。自らにも言い聞かせている。

(工藤光)