「事件は会議室で起きているんじゃない。現場で起きているんだ!」というドラマのせりふがある。全くもってその通りだ。

 4月に県警担当に配属され、さまざまな現場に行った。火災、人が亡くなった交通事故、クマの被害に遭った民家。時に、胸を締め付けられた。現場に行かなければ分からなかった感情。全てが勉強だった。

 現場に行けなかったこともあった。盛岡市で未明に起こった酒気帯び運転による車両横転事故。覚知が遅れた上、立て込む仕事の優先順位に迷い、到着は昼。現場は片付けられていた。

 悪質な飲酒運転の怖さを伝えるためには写真が必要だ。「現場写真を撮った人を探して来て」と上司に言われた時は正直弱気になった。発生は午前2時半。そもそも目撃者はいるのか。重い足取りで向かった。

 通行人に声を掛けても、冷たくあしらわれる。他の原稿もあり焦りは増していく。1時間歩き回って諦めかけたとき、ついに救世主が現れた。「写真ありますよ」。スマホを差し出してくれた男性がどれほどすてきに見えたことか。あの感情は忘れられない。

 今回は運が良かったが、現場に間に合わなかったことは反省だ。現場に事実があることを知った今、誰よりも早く現場に向かう歩みは止めない。

(鈴木広野)