花巻市の市街地には、古くから営業する飲食店が軒を連ねる路地裏がある。どこか懐かしい雰囲気がまちの魅力を高めている。

 その路地裏は、大通り近く。昼時には人より堂々と歩く猫を横目に天ぷら店ののれんをくぐる。店内には赤茶けたカウンターと木製のメニュー表。席に着くなり、おかみさんが「きょうは天丼だよ」と用意してくれる。日替わり定食は600円だが、ご飯とみそ汁、主菜に小鉢2品。さらにサービスが付くこともある。

 60年以上続く天ぷら店のほか、近隣には古くからの食堂や老舗団子店なども立地。しかし高齢化で閉店する店もあるほか、長期化する新型コロナウイルス禍で経営は順調ではない。おかみさんの口癖も「コロナでお客もさっぱりだ」。

 4月に着任してから若者の積極的な挑戦やまちづくりに参加する姿を多く取材した。路地裏近くでは、アパートや飲食店などが融合した複合施設建設計画が進んでいる。その計画を主導するのも30代と40代の経営者。彼らは共通して「古くて懐かしい建物が残る中心部に人を呼び込みたい」と思いは熱い。

 伝統に重きを置いたまちは、大きな転換期を迎えている。新旧が融合した、これまでにないまちづくりが進む様子を体重にも気を配りながら伝えていきたい。

(山本直樹)