2021.12.31

短い夏、設営フル回転 年の瀬も響くつち音

昭和基地の管理棟屋上で漏水防止工事をする隊員
昭和基地の管理棟屋上で漏水防止工事をする隊員

 【昭和基地で報道部・菊池健生】年の瀬の南極・昭和基地では、観測隊員らが短い夏にしか行えない建築や土木の「設営作業」に励んでいる。日本の年末らしさはなく、基地がある東オングル島内はつち音が響く。62次越冬隊員と63次隊員、プロフェッショナルと専門外の隊員が力を合わせ、越冬できる環境をつくっている。

 荒れ地、岩石、重機音。白い大陸や氷山が見える、ちょっと変わった「工事現場」だ。62次越冬隊員が生活を送る管理棟では、屋根の漏水防止工事を実施。高さ約9メートルの屋上で、隊員たちが作業する。金ブラシで屋根の下地を作った後、表面に防水処理を施した。

 人員は限られており、国内では工事と縁遠い職種も現場に入る。62次越冬隊員の久岡哲也さん(47)=ミサワホーム近畿、兵庫県播磨町出身=は「専門外の仕事もあるが、プロとして来ている以上『できません』ではいけない。63次隊としっかり情報共有したい」とサポートする。

トラックの部品を交換する吉沢悠生さん(右)と鈴木聖章さん

 極地生活に不可欠なのがトラックや重機。63次隊では越冬隊の吉沢悠生(はるき)さん(27)=大原鉄工所、新潟県長岡市出身=と森戸毅さん(34)=いすゞ自動車、栃木県栃木市出身=が整備を担当する。26日には早速、63次隊が使い始めたトラックを修理。62次越冬隊員の鈴木聖章(ともあき)さん(34)=いすゞ自動車、甲府市出身=も手を貸した。

 夏期間は前次隊の越冬隊員と経験を共有する貴重な時間。吉沢さんは「走行距離が短くても、足回りの傷みが著しい印象だ。さまざま制約がある中で、どのように作業するかノウハウを聞き出したい」と話した。

 国内と異なり、修理に業者を呼ぶという環境にない昭和基地。厳しい自然に耐える設営作業から、プレハブ建築など技術の進歩につながった例もある。63次隊の現場監督を務める、夏隊員の後藤猛(たけし)さん(53)=飛島建設、東京都江戸川区出身=は「国内、南極にかかわらず安全が第一。最後までけがなく頑張りたい」と腕をまくる。

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