美しい星空を誇る西和賀町を担当する間にかなえたい夢がある。北上支局で仕事を終え、錦秋湖までドライブ。いつか見た映画のシーンに重ね、音楽を流しながら湖面を見つめて空を仰ぐ。今夏に実現させるはずだった。

 ささやかな願いは5月、実現困難な状況となった。斜面崩落の恐れから、同町と北上市を結び、錦秋湖に通じる国道107号の町内区間が通行止めに。復旧時期は見通せず、半年が経過した今も警戒が続く。

 住民生活に根付いた基幹道路だけに、冬の交通確保や産業衰退など地域の不安は大きい。「このまま冬になったら誰も来ない」と寂しげな商店主、「通院するのが不安だ」と嘆く高齢者。長引く通行止めに困り果てる住民の思いに多く接してきた。

 現場では、来冬の応急的な通行再開を目指し、斜面の安全確保と迂回(うかい)路の整備が進む。区間の抜本的な改良整備に向けた要望活動も加速し、復旧への歩みは着実に進んでいる。それでも道のりは長い。

 自分の小さな夢の雰囲気だけでも味わおうと、晩秋の夜、友人と107号沿いの道の駅錦秋湖まで向かった。ここから先は行き止まり。閑散とした駐車場は、誰かを待っているかのようにも見えた。この道の復活を見届けたい。そんな思いがこみ上げた。

(斉藤元)