2021.12.29

海図作製へ水温、塩分調査

しらせが定着氷を砕いて現れた海に、水温や塩分濃度を測る計器を投下する斉藤康仁さん=南極海
しらせが定着氷を砕いて現れた海に、水温や塩分濃度を測る計器を投下する斉藤康仁さん=南極海

 水深や障害物の情報が細かく記載されている「海図」を作るため、63次夏隊員、斉藤康仁(こうじ)さん(32)=海上保安庁、東京都武蔵村山市出身=が地道な調査を担っている。海図は船が座礁や衝突を避け、安全航行するために不可欠。未調査地域の多い南極海を正確に把握し、円滑な観測を下支えする。

 観測船しらせ船上。斉藤さんが水温、塩分濃度などを測る計器を海に投入する。「計器が少しでも船体に当たればデータが使えなくなる」と神経を研ぎ澄ませて海面に目を凝らす。

昭和基地に向けて定着氷を進む観測船しらせ。乗り上げた船の重さで氷を割る「ラミング」をするため、後退と前進を繰り返す=南極海(しらせ艦載ヘリから撮影)

 一見、海図作製と直結しないように思える水温や塩分濃度だが、海底地形を計測したデータに乱れを生じさせる可能性がある。同庁がしらせに搭載された測深機で立体的に捉えた地形のデータを補正するのだ。

 しらせの往路は、日本から南下中は緯度1度ごと、南緯60度に達した後の西進中は経度5度ごとに計測。昭和基地に近づいた定着氷では4時間に1回、計器を投入した。復路ではリュツォ・ホルム湾の昭和基地近くと同湾沖の2カ所で行う予定だ。南極海は全体的に未調査地域が多く、日本隊は「国際水路機関」の取り決めで、同基地周辺の作製を担当する。

 海図はしらせの航路決定にも生かされる。斉藤さんは「プレッシャーはあるが、南極は自分自身への挑戦でもある。普段通りの仕事を意識したい」と励む。

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