2021.12.29

音のない極地に感動 月刊南極支局

南極大陸・スカーレンの巨大な氷瀑。長い年月をかけて海へ向かう氷床が約250メートルの高さからゆっくりと落ち込んでいく
南極大陸・スカーレンの巨大な氷瀑。長い年月をかけて海へ向かう氷床が約250メートルの高さからゆっくりと落ち込んでいく

 【昭和基地で報道部・菊池健生】第63次南極地域観測隊(牛尾収輝(しゅうき)隊長)は12月、昭和基地に到着し、1年間基地を守ってきた62次越冬隊と活動を本格化させている。基地は輸送や建築作業で大忙し。ヘリコプターを使った野外観測も動きだした。短い夏の時間を有効に使おうと、隊員たちは早くもフル回転だ。

 これが静寂か。昭和基地の南約80キロの露岩域スカーレン。南極で1年過ごしてきた62次越冬隊員の稲村友臣(ともみ)さん(34)=気象庁地磁気観測所、大分県別府市出身=が静かに教えてくれた。「南極で感動したことは、音がないことです」

 目の前には南極氷床から出て、約250メートルの高さから落ち込む氷瀑(ひょうばく)。壮大さに圧倒される。長い年月でできた地球の造形美を背に、隊員たちは地磁気観測に励む。短い夏期間にしかできないのが、しらせ艦載ヘリを使った機動的な野外観測。ほぼ毎日展開される。

 静かな露岩域から戻ると、昭和基地のにぎやかさが際立つ。基地到着後、まず取り掛かるのが、観測船しらせから物資や車両を基地に届ける輸送作業だ。

 艦載ヘリと雪上車で実施。重量物は氷上を輸送するため、寒さで海氷が硬くなる夜から未明に行う。太陽が沈まない白夜の極地。到着早々のハードスケジュールだが、天候の落ち着いているうちに、少しでも進めたいのだ。観測と基地運営を着実につなぐため、隊員は黙々と取り組む。

露岩域を歩く野外観測の合間に昼食を楽しむ観測隊員。青すぎる青空の下の食事は最高の時間だ=スカーレン
しらせから雪上車でコンテナを運び、昭和基地に降ろす隊員

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