今春入社し、報道部の経済担当として働き始めた。毎日が目まぐるしく、変化に富んだ9カ月だった。

 取材するほど、世の中には知らないことがたくさんあると気づき、視野が広がる機会が多くあった。

 さまざまな人と出会ったが、中でも印象深いのは、ペットの身だしなみを整えるトリマーの道を18年歩み、独立開業した滝沢市巣子の江刺家(えさしか)紗由(さより)さん(36)だ。

 「これでご飯を食べていくんだと決めたら覚悟ができた。自分で決めた道なら後悔しない」と吹っ切れたように語った言葉が今も心に残っている。

 群馬県出身の私は岩手大農学部を卒業した後、大学院進学のため上京。その後、新聞記者を目指して就職活動し、縁あって岩手に戻ってきた。

 記者を志した原点には「社会の中で生きづらさを抱える人の声を届け、理解を広げたい」「伝えなければ風化してしまう事実がある。悲しみを繰り返したくない」という思いがある。

 ただ、仕事がうまくいかない時ほど、県外出身の自分が岩手で働く意味を考えてしまった。新型コロナウイルス禍で帰省できず、寂しくなる日もあった。

 そんな私にとって、苦しい時期を乗り越えてきた江刺家さんの姿は、とても輝いて見えた。

 (村田美和)