地域で大切に守り育ててきた伝統は色あせない。陸前高田市の郷土玩具「くびふりべーご」もその一つだ。

 7月から公民館の玩具作り講習会に参加した。べーごは同市竹駒町の玉山金山から金塊を運ぶ牛を模した玩具。張り子作り、塗料の重ね塗り、模様の描き方、小道具製作…。一つ一つの工程にこだわりがあり、繊細な作業ばかりだ。

 仕事で休んだ期間もあり、11月以降は横田祐佶(ゆうきち)先生(78)の個別指導を受けた。中学時代に美術の成績で「2」を取ったほど芸術的センスは皆無だが、先生のおかげでどうにか年内に完成できた。

 玩具の歴史は400年以上とされ、一時途絶えた製作は地元関係者の尽力で復活。2018年には伝承の会が立ち上がり、市民ら対象の講習会を続けている。製作テキストも作成し、継承の土台づくりが進む。

 完成したばかりのべーごはピカピカに黒く輝き、誇らしげに首を振っているようだった。そう思えたのも、継承に情熱を注ぐ人たちの存在があってこそだ。

 東日本大震災から10年がたち街は変わった。新型コロナウイルス禍の影響も続く。ただ、苦況にありながらも、大切にされてきた宝物はまだまだいっぱいある。来年も地域の〝トラ〟ディショナルな活動に注目だ。

 (向川原成美)