2021.12.02

遠い人思う心の郵便 南極days(1)

「しらせ郵便局」からはがきを出す佐藤稜也さん=1日、しらせ船内
「しらせ郵便局」からはがきを出す佐藤稜也さん=1日、しらせ船内

 南極観測船しらせが1日に越えた南緯55度は、昭和基地に向かう航路の一つの節目とされる。気温が下がって氷海が迫り、海洋観測も本格化する中、船内にも変化があった。「しらせ郵便局」の開局だ。

 正式名称は「銀座郵便局しらせ船内分室」。分室長は、日本郵便から辞令を受けたしらせ乗員が務める。開局期間は復路で再び南緯55度を越えるまでとなる。

 郵便料金は国内と変わらない。63次隊の越冬隊員、佐藤稜也さん(28)=気象庁、北九州市出身=は「メールよりも温かい気持ちになってもらえる」と妻早苗さん宛てに早速、はがきをしたためた。

 投函(とうかん)しても郵便物は船と一緒に日本に戻るため、実際に届くのは来年3月末以降となる。それでも分室長の昆雅一1等海尉(46)=青森県むつ市出身=は笑顔で語る。「しらせから出すはがきには、料金以上の価値がありますよ」

 当初は国内にいる家族らに安否を知らせるため、初代観測船「宗谷」に設置された郵便局。通信技術が発展し、観測船や極地からメールができる現代でも、遠く離れた地でつづった言葉は、相手の心により深く届くのだろう。

 

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 報道部・菊池健生記者による第63次南極地域観測隊同行取材での見聞録を随時掲載します。

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