「助けられる人から、助ける人に」。何度も聞いたその言葉に、何度も胸をつかれた。

 生徒たちの防災の取り組みを取材する機会が多かった今秋。大槌学園の避難所運営訓練では、初の運営に臨んだ9年生(中3)の男子生徒が、避難者への気配りや他の運営担当との密な連携を率先していた。想像力を働かせた行動に感心して動機を尋ねると、「次は役に立ちたい」との言葉が返ってきた。

 取材した生徒は、意図したわけではなかったが被災者が多かった。校内初の避難所運営ゲームを開催した男子高校生や、アレンジ料理に適したサンマの缶詰を開発した女子高校生たち。いずれも震災で家を失ったが、「避難所では同級生と仲良く過ごした」「食に困った覚えはない」などの返答。そして、「今度は自分の番だ」と語っていた。

 今の高校3年生は当時小学校1年生。記憶は少なくても、暮らしを支えた大人の存在と苦労を感じ取り、行動の原点としていた。

 晩秋、大槌町吉里吉里(きりきり)で地区住民らの寄付により開かれた花火大会の発案者が語っていた。「やったことが残れば、大人はいいのよ」。花火は一瞬で散るが、託された思いは光景や空気感と共にいつまでも残る。身体感覚への訴えから伝承が始まる。

(加藤菜瑠)