「この子たちの多くは、一度はここを離れるが、それでいい。いつか、まちの未来を支える存在として戻って来てもらえれば」

 大船渡での学校取材で会う、先生たちの言葉は異口同音だ。高校まで地元で生活しても、さらに深く学びたい、何か技能を身に付けたいと思えば古里を離れなければならない人は多い。

 「今」ではなく「先」を見据えた先生たちの言葉は、児童生徒が地元を離れてしまう悲観ではなく、無限の可能性を力強く後押しするものに感じた。

 春先から秋までNHK連続テレビ小説を楽しんだ。

 「おい行けよ、菅波!」「おじいちゃん役でも渋いな藤竜也」「『弱虫ペダル』の主役か。りょーちん、すっかり海の男だな」

 現実と仮想が入り交じった世界で一喜一憂し、独り言を繰り返した。舞台は宮城県だが、大船渡市での取材で日々出会う人たちや、太平洋を望む風景は今にもドラマに出てきそうで、ハマった。

 ドラマの主人公は、いったん古里を離れた。それでも「役に立ちたい」と帰郷し、新たに得たスキルを古里のために生かした。

 残る者、離れる者、戻る者。どれが正しいというものではない。ただ、「おかえり」と「ただいま」が繰り返される、そんなドラマのような大船渡市であり続けてほしいと願う。

(村上俊介)