2021.10.20

コロナ禍の葬儀、高額に? 県内で該当事例なし

コロナ禍での葬儀の感染対策について説明する青柳均理事長。国民生活センターは「葬儀費用は事前に確認を」と呼び掛けている
コロナ禍での葬儀の感染対策について説明する青柳均理事長。国民生活センターは「葬儀費用は事前に確認を」と呼び掛けている

 新型コロナウイルス禍での葬儀について、盛岡市の50代女性から「感染対策として高額の葬儀費用を請求されたというニュースを見聞きしたことがある。実態はどうなっているのか」との声が特命取材班に寄せられた。取材を進めると、県内で、こうした事例は見当たらない一方、全国的には通常ではかからない費用が追加されるケースも散見されることが分かった。他方、感染の再拡大が懸念される冬に備え、葬儀会社は対策に気を引き締めている。

 県民生活センターによると、新型コロナに絡む葬儀費用に関する相談はゼロ。県内の複数の葬儀会社も「感染対策を理由にした葬儀費用の追加請求はしていない」と話している。

 しかし、全国に目を向けると、国民生活センターには「父の葬儀で出席者は家族だけなのに、葬儀会社から密を避けるため大ホールで行うと言われた。小ホールとは費用に何十万円も差がある」「夫の葬儀をした際、通常の葬儀費用に加え、新型コロナ対策として衛生管理費を請求された」などの相談が寄せられているという。同センターは「感染対策で通常ではかからない費用が追加されることもある。申し込む前に見積書で納得できる内容や費用であるか確認してほしい」と呼び掛ける。

 終活関連のポータルサイトを提供する鎌倉新書(東京)が2020年2月に実施した「お葬式に関する全国調査」によると、本県の葬儀費用(飲食費、返礼品費は含まない)の平均は、157万800円。ただ、コロナの影響を受ける前の調査であり、同社は「参列人数を絞って小規模に弔うケースが増えているので、現在の費用は、もっと下振れていると思う」と説明する。

 一方、取材を進めると、感染対策に念入りに取り組む葬儀会社の状況も見えてきた。県内37社が加盟する県葬祭業協同組合の青柳均理事長は「業務上直接ご遺体に触れるケースもあり、対策には人一倍慎重にならざるを得ない」と気を引き締めて業務に当たっている。

 参列者の感染予防にも万全を期す。青柳理事長が社長を務める「あおやぎ」(一関市)が運営する葬祭会館では、参列者が座る椅子の間隔を従来の倍以上の1・5メートルにし、葬儀後の会食も控えるなど対策を講じている。

 青柳理事長は、地域によって異なるしきたりや作法がある葬儀の文化的側面に触れ「コロナ禍で小規模な葬儀が浸透してきたが、収束後、各地に受け継がれてきた葬儀の形がどうなっていくのか。対策を講じながら、状況に合わせてわれわれができるお別れのお手伝いをしていきたい」と話している。

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