住めば都とは宮古のことだよ-。入社して1年3カ月勤務した本社報道部からの転勤が決まった時、社内外の人にそう言われて宮古支局に着任した。3カ月が経過し、最近はまちで聞く「そうだがえ」という宮古弁にほっこりしている。

 管内は北に南にとにかく広い。取材での移動距離は車のメーターを見るたびに驚くが、知らない景色や文化に出合ったときの高揚感は何にも代えがたい。

 「丹精込めて作ってもらったお料理を食べた時、この地域では何味でも『くるびあじがする』と言うことがあるのよ」。8月に取材で岩泉町を訪れた際、同町門の瀬戸屋旅館のおかみ、辺見むつ子さん(73)がそう教えてくれた。

 クルミは栄養が豊富だが、拾ってから食べられるまで多くの手間がかかる。作り手への感謝も込めて「くるびあじ」という言葉が使われてきたそうだ。

 そう言いながら辺見さんが振る舞ってくれたのはドングリを使ったお菓子「どんぐりこ」。青い花が添えられ、食べると優しい甘さと香ばしさが口いっぱいに広がった。

 県内出身だが、ドングリを食べたのは初めて。“くるびあじ”がするおいしい料理を頂いた感謝とともに、「記者として、ここで真心こもった仕事をしていきたい」と改めて思った。

(八幡文菜)