震災から10年7カ月がたった10月。大船渡市赤崎町の漁村センター内に市が整備した「市防災学習館」の運用が始まった。東日本大震災時、多くの地域住民が避難した同センター。新たな防災学習の拠点として生まれ変わったことが感慨深い。

 同センターには震災時、約300人が身を寄せた。改修は最小限にとどめ、当時と変わらない雰囲気を残している。多くの人が雑魚寝していた硬く冷たい床、炊事をしていた調理室、遠くに見える大船渡湾。防災食や毛布など展示物の他にも、建物や立地の全てが防災学習につながっているように感じた。

 震災学習施設は震災後に新たに建てられたものが多く、当時の様子を目で見て肌で感じられる施設は珍しい。同市ならではの特色のある防災学習施設に仕上がった。運営を行う地元の赤崎地区振興協議会の金野律夫会長も「次世代に震災の出来事をつなぐため、当時を知る私たちが語っていく」と地域の熱も高い。

 取材で市内を回ると「防災教育にさらに力を入れたい」と10年を機に一層の発展を目指す学校が数多くある。震災を経験していない世代にとって、五感を使って学べる施設は貴重な財産。震災の教訓を残せるよう有効活用してほしいし、そうした場面を広く伝えたい。

(清川航矢)