分散参拝が呼び掛けられる中、初詣は担当する野田村の愛宕神社に決めていた。今年のえと「うし」にちなみ、私を含む新人記者が考え、元日紙面に掲載した初めての企画の苦労を振り返りつつ手を合わせ、決意を新たにした。

 12月初旬、企画の取材で男性記者3人で「野田塩ベコの道」を歩いた。久慈広域観光協議会の観光コーディネーターで年男の貫牛(かんぎゅう)利一さん(59)の案内で歩を進めた。

 本格的な山歩きは生まれて初めて。入社後の運動不足もたたり、片道約6キロが果てしなく感じた。「車があったら」とよこしまな考えに陥りそうになりながら、当時の様子に思いを巡らせるうち、足取りが変わってきた。

 背に塩を積んだ6~7頭の牛を率い、内陸部を目指した牛方。日照りの激しい夏や寒さがしみる冬も黙々と運び続けた情景が頭に浮かんだ。速さはないかもしれないが、その足で着実に歩き続けた牛たちの姿に、ハッとさせられた。

 目の前の出来事に追われた昨年は、落ち着いて周囲を見渡す余裕に欠けていた。時間と闘う日々の中、物事にじっくりと向き合うことも大切だ。

 間もなく「新人」の冠は外れる。もっと久慈地域を知り、読者に深い記事を届けたい-。そのためにも、時には牛のように確かな一歩で取材に臨みたい。

(高橋康)