生乳の味を活かした乳製品作りの道へ
リレーエッセイ イワテライフの楽しみ方
吉塚雄志さん第2回(全2回)

私が中学1~2年生の間、母が体調を崩し、強制的に私が家事をすることになりました。
ほぼ無知ゆえ私が作る料理はまずく、他の家事も段取りが悪いため、寝るのが遅くなる日々。さすがに改善を考え始めました。今だから言えますが、学校では帰宅後の作業の流ればかり考えていました。やがて少しずつ効率よくできるようになり、料理も家族から「おいしい」と言われるようになりました。
こうして料理好きになっていた高校生の頃、チーズ作りを勉強していた長兄から勧められ、初めて乳製品作りを体験。生乳の味や状態の変化に面白さを感じ、「うちの牛乳で乳製品を作りたい。酪農とは違うやり方でも、山地酪農を広めることはできるはずだ」と考えるようになり、乳製品作りの道に進むことを決めました。
北海道で研修し、2017年に製造をスタート。当時も今も、季節で変わる生乳や気候の変化に対応しながら作ることは本当に大変ですが、そんな中で、昨年の「JAPAN CHEESE AWARD」で看板商品「白仙」が最優秀部門賞をいただいたことは、大きな励みになっています。
日々変化する生乳を使っている以上、乳製品作りにゴールはありません。今後も、その日その日の生乳の味を最大限生かした乳製品を作ることで、「山地酪農の普及発展」を目指していきます。
今月の人 吉塚雄志さん