県国際リニアコライダー(ILC)推進協議会(会長・谷村邦久県商工会議所連合会長)は24日、国内誘致の実現に向け講演会を開いた。研究者らは国内誘致を巡る世界の最新動向を説明。宇宙創成の謎に迫る科学的意義のほか、新型コロナウイルス感染症で分断が進む国際社会の共生、コロナ終息後の日本の成長につながる重要性を確認した。

 オンライン形式で、東京大素粒子物理国際研究センターの森俊則教授と山下了(さとる)特任教授、東急総合研究所の藤井健顧問の3人が講演。国内外の600人以上が聴講した。

 ILCを推進する国際将来加速器委員会(ICFA)の日本代表の森氏は「政府が関心を持って協議を進めると表明し、国際推進態勢が強化された」と述べ、ILC準備研究所の設立を目指して国際推進チームが動き出した状況を説明。最先端の加速器技術が「(極めて小さな物質を解析する)放射光施設や高度医療に利用される」と波及効果の大きさを語った。

 日欧協議で、欧州側が現状で「財政に余裕がない」との意向を示した背景について、山下氏は欧州合同原子核研究所(CERN、スイス)の動向に触れて「大型円形加速器の改良が終わるまでは当然」と説明。懸案とされる巨額の財源確保について「学術を超え、科学技術の発展や地方創生を実現させる」と既存の枠にとらわれない発想の必要性を説いた。

 藤井氏はILCが人種や宗教、言語を超えて世界が科学研究に励む貴重なプロジェクトだとし、新型コロナウイルス感染症の流行で亀裂が深まる国際情勢も踏まえて「人類が手を携え、地球的課題に挑戦する。社会の分断の危機が高まる今こそ重要だ」と訴えた。これまで人類が長い歴史の中で追求してきた真理の探究を「(ILC誘致を断念して)止めてはならない」とも強調した。

 これに先立ち、推進協は役員会を開き、誘致活動の強化を確認した。谷村会長は「加速器技術を利用したコロナ対策に世界の研究所が取り組んでいる。実現に向けたフェーズが大きく変わる中、受け入れ体制の整備など活動を一層加速させたい」と述べた。