国際リニアコライダー(ILC)の実現に向けた新組織「東北ILC事業推進センター」が6日、発足した。建設候補地とされる岩手、宮城両県の自治体や大学など22団体で始動。世界の研究コミュニティーが国際推進チームを設立して本格的な準備に着手した流れを踏まえ、受け入れ態勢やインフラの整備など地元でも検討を加速させる。

 一関市内で同日、設立総会を開き、代表に鈴木厚人県立大学長を選んだ。その下に関係自治体、国内外の有力研究者らのフェロー、アドバイザリーボード(専門家委員会)などの部門を置く。具体的な人選は調整中。

 これまで地元の受け入れ準備は東北ILC推進協議会の下部組織の東北ILC準備室を中心に動いてきたが、幅広い主体を巻き込む発展的解消で、事業推進センターに任務を引き継いだ。

 検討課題はILCの立地を見据えたまちづくりや自然環境や社会への影響、加速器産業の振興など。当面は詳細な地形・地質や港湾の活用による物流などを調査研究する。課題に応じて部会を置いて取り組む。

 ILCを推進する国際将来加速器委員会(ICFA)は2日、実動部隊として国際推進チームの設立を決定。高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)を拠点に、準備研究所の立ち上げに向けた各国の当局および研究所との協議、研究施設の技術向上などに着手した。

 事業推進センターは同チームと連携し、ILCの実現に必要な環境整備を進める。鈴木学長は「従来の誘致活動から進み、実際にILCを造る準備の段階に入る。候補地として、準備研究所設立やさらにその先のを見据えた検討を早く進めたい」と抱負を語る。

 宇宙創成の謎に迫る素粒子物理学の巨大実験施設、ILCは岩手、宮城両県にまたがる北上山地(北上高地)が世界的な建設候補地とされている。KEKは国内外の調整が順調に進んだ場合、2030年代中ごろの運用開始を想定する。

 推進センターの設立時構成団体は次の通り。

 東北大 岩手大 県立大 宮城県 仙台市 気仙沼市 登米市 栗原市 大崎市 県 盛岡市 大船渡市 花巻市 北上市 遠野市 一関市 陸前高田市 奥州市 金ケ崎町 平泉町 住田町 県ILC推進協議会