国際リニアコライダー(ILC)実現に向け国際推進チームが始動した。高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)を活動拠点とし、2021年末までにILC準備研究所の組織・運営体制を整備し、実験装置の技術をさらに高めるのが主な任務。プロジェクトは本格的な準備段階に移行する。

 国際将来加速器委員会(ICFA、ジェフリー・テイラー議長)が2日に設立を承認し、KEKが5日発表した。

 推進チームの執行部は欧米、アジア太平洋の代表者や作業部会長らで構成。トップの議長には、ICFA内でILC計画を推進する要職を担ってきたスイス連邦工科大の中田達也教授が就く。

 作業部会は三つ設置し、準備研究所の組織構築に向けた各国の当局や研究所との協議、加速器を含む施設の検討、素粒子の衝突実験で生じた現象を調べる測定器の技術向上などを推進する。チームの活動拠点はKEKに置く。

 これまで同計画を推進してきたICFAの実動部隊、リニアコライダー・コラボレーション(リン・エバンス代表)は6月末で活動を終了。発展的解消として推進チームに任務が引き継がれた。

 今後のスケジュールは21年末までに制度設計などを終え、翌年に準備研究所を設立でき、さらに関係国の合意が調った場合、26年にもILCの研究所の組織構築と建設に着手。順調なら運用開始は30年代中ごろが想定される。

 KEKの岡田安弘理事は岩手日報社の取材に対し「国際推進チームの設立はILC建設への具体的な道筋を示し、実現させる大切なステップだ」と説明した。

 宇宙創成の謎に迫るILCは岩手、宮城両県にまたがる北上山地(北上高地)が候補地とされる。次期欧州素粒子物理戦略は「ヒッグス粒子」の詳細研究施設が次の衝突加速器の中で「最優先」と位置づけ、日本でのタイムリーな実現へ「協働を望む」との姿勢を示している。