静かだった夏。新型コロナウイルス感染症の影響で、一関でも各地域の夏祭りや伝統行事の多くが中止となった。取材する側としても非常に残念だったが、関係者の無念さはその比ではないだろう。

 一方、このような状況下でも、これまでの伝統を来年につなげていこうと、さまざまに知恵を絞った取り組みも行われた。一関市の夏の人気イベント「全国地ビールフェスティバル」もその一つ。

 例年のような大規模な集客イベントは断念したが、市内の飲食店で全国の地ビールを提供するスタンプラリー形式で開催し、歴史をつないだ。先日は初の動画配信イベントも行い、全国の地ビールファンに「一関のことを忘れないでほしい」と熱い思いを届けた。

 千厩町でも「夏祭りに替わる、住民が楽しめるイベントを」と、雨傘で空を彩る「アンブレラスカイ」が初めて行われた。色とりどりの傘の下で浴衣撮影会も行われ、「祭りがなくなり、浴衣を着る機会がなかったのでうれしかった」と話す参加者の笑顔が印象的だった。

 逆境下でも今できることを見いだすこのような取り組みは、地域に新たな活気を生み出すきっかけにもなるだろう。今年の経験と悔しさを糧に、さらに魅力を増した来年の「熱い夏」を楽しみに待ちたい。

(窪田充)