北海道北広島市 ゆきこさん(66)

 母は樺太で雑貨屋をしていました。夫は出征し、祖母と二人暮らし。敗戦後、ソ連軍が進駐し、ある日、母はソ連兵に呼び止められました。「アナタ、ヨロシー?」。言い寄られたようです。駄じゃれ好きで陽気な母は「ロスケはイヤラシイ!」と切り返しました。後から祖母にそのことを話すと、ソ連兵が「イヤラシイ」を「ヨロシー」と聞き間違えてないかと不安がり、「男女の契りを了解したと思ったのでは?」と言うのです。案の定、その夜、酔ったソ連兵が家に来ました。母は慌てて裏口から逃げたそうです。そんな怖い思い出を母は「ガハハ」と笑って、私に話したのです。

(北海道新聞提供)