会場は静かだった分、選手の思いが伝わってくる大会だった。花巻市中学校総合体育大会(7月23、24日)で、新型コロナウイルス感染症の影響で練習も試合も多くの制約を受けながら、逆境に立ち向かう選手の全力プレーに見入った。

 ソフトテニスの熱戦。得点を奪うと拳を固めて雄たけびを上げて気合を入れ、人目をはばからずに涙を流す選手たち。じりじりとした日差しの下、汗がにじむ目をこすりながらカメラで必死に追った。

 男子個人で優勝した石鳥谷の菅原大夢(ひろむ)さんと上野航太さん(ともに3年)のペアは目に焼き付いている。菅原さんは準決勝の試合中に足をつるアクシデント。決勝も疲労困憊(こんぱい)で何度も転倒しながら、上野さんと必死に食らいついて勝利をたぐり寄せた。

 ほかの種目でも相手との戦いに加え、目に見えないウイルスの感染対策を強いられた。上位大会の道が閉ざされ希望を失いかけ、万全の状態で本番を迎えられなかったかもしれないが、3年間の集大成を見せてやろうと切り替えた。

 「特別な夏」に、暗雲のように全世界を覆う問題と向き合った中学生。口を開けば「今の若い者は」と言いがちな皆さんの親世代から見ても、精いっぱいのプレーは晴れ晴れしく、率先した命を守る行動は頼もしかった。

(新沼雅和)