普段何げなく目にする花や木々の一つ一つにも、地域住民の物語や歴史が詰まっていることがある。金ケ崎町と奥州市での二つの取材を通じて、その物語や歴史に触れる機会があった。

 金ケ崎町永沢では、鮮やかな黄色のスイセンが道に連なって咲く「スイセンロード」が今春完成した。この試みは、昨年亡くなった地元の松本典昭さん=当時(69)=が「住民が花を見に集まる場を作ろう」と住民に提案したもの。しかし準備を進める前に松本さんが帰らぬ人となり、その遺志を継いだ仲間たちが球根を植えて実現させた。

 「典昭さんのスイセン、みんなで見に来たよ」。訪れた仲間たちが、花にそっと声を掛けたのが印象的だった。黄色い花に込められた地域の絆を知ることで、花が一層美しく見えた。

 奥州市衣川日向(ひなた)の衣川荘周辺には、旧衣川村誕生100周年を祝い植樹した桜並木がある。30年以上前に衣川の発展を願って植えられ、住民の誇りが詰まっていた。木をじっと眺めながら、当時を知る住民が思い出話に花を咲かせていた姿が心に残っている。

 地元住民が植えた花や木の成長を、宝物のように見守り続けている人がいる。〝地域の物語〟に触れ、その地域ならではの魅力を伝えるような記事を書いていきたい。

(大橋秀喜)