釜石市の市郷土資料館に、艦砲射撃の砲弾の破片が突き破った民家のふすま2枚が展示されている。戦後75年の節目に新たな資料として公開。展示を始めた14日以降、平日休日問わず来館者が増えているという。

 戦争体験者が減り、当時の経験を聞く機会は減った。体験者らの声を、未来につなぐ言葉として紹介する全国の地方紙連携企画「戦後75年 言葉を刻む」が本紙で始まり、その言葉の重みを改めて実感する。

 そんな中、広島で被爆し、原爆の悲惨さを国内外で語り継ぐ花巻市の斎藤政一さん(96)と電話で話す機会があった。年齢を感じさせない活気のある声は変わらず。「75年前とは核兵器の威力は全く違う。警戒を強めなければ。社会がいろいろ変わっても、新聞で伝えてください」。こう強く言われた。

 5年前、広島市の原爆ドームを訪れた斎藤さんが、「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ウォー」と叫んだことを思い出した。年齢を重ね、体調が悪い日も増えたと言うが、伝えなければとの思いをさらに強めているように感じた。

 事実や教訓の次代への継承の課題は東日本大震災にも通ずる。戦争や震災の「伝承」の在り方、発信の方法を改めて見つめ直したい。

(川端章子)