東日本大震災の津波で流失した陸前高田市の高田松原は再生への取り組みが続く。「ここはみんなにとって思い出の場所」。現地取材で、除草作業に励む地元ボランティアの2人から偶然にも同じ言葉を聞いた。

 県と地元のNPO法人高田松原を守る会(鈴木善久理事長)が計画する4万本の松の植樹は今夏にも完了する見通しだったが、新型コロナウイルス感染症の影響で同会の植樹祭は中止に。夏の除草作業もボランティア参加者が少ない状況が続く。

 昨年の台風19号では松苗の倒伏被害に見舞われた。幾多の困難が立ちはだかろうと、鈴木理事長は「立派に再生した松林を孫子の世代に残したい」と自らに言い聞かせるように話す。献身的に活動する同会役員らの熱意には本当に頭が下がる。

 砂浜再生工事を終えた高田松原海水浴場は来年夏に再開する。市民らが思い出の場所に集い、存分に遊泳を楽しみ、笑顔でバーベキューを囲む。にぎわう様子が今から待ち遠しい。

 私自身が震災前に高田松原を訪れたのは高校1年時の1回のみ。在りし日の記憶はあまり残っておらず、悔しい。だからこそ再生に携わる人たちの思いを胸に刻み、将来への歩みを目に焼き付けていきたい。

 (向川原成美)