浜の取材が好きだ。沿岸支局の特権だ。特に連載企画「舫(もや)い」の順番が回ってくるのが待ち遠しい。この記事に限っては逆に「アポなし」の取材を心掛けている。

 これまで洋野町の角浜(かどのはま)、高家(こうげ)と普代村黒崎の3カ所を巡った。いずれも初めて会う方々ばかりだったが、歓迎してくれた。「せっかくだから乗ってけ」と船に乗せてもらい、間近で浜仕事の一端に触れた。

 舫い以外では、久慈港のギンザケ養殖の取材が印象に残る。快晴で、湖のような「べたなぎ」。約3キロ沖までの短い船旅だったが、早朝の潮風が全身に染み渡った。水揚げは順調。新顔として期待は大きい。

 浜の皆さんは男女問わずたくましく、優しい。そして、紺色の「GYOSEN HOKEN」の帽子がよく似合う。経験や技術に勘も必要で、時にチームプレーも「個人競技」もある。自然環境や相場にも左右される。奥深い職業だと思う。何より「大漁」の喜びは人一倍だろう。

 そんな日々の営みを思うと、なじみの居酒屋に並ぶ魚料理の見方もガラリと変わる。地元の方からは「いつも通りだよ」と言われそうだが、今シーズンのママスは最高だった。今後も皆さんに敬意を示しながら、ありがたく味わいたい。

(及川純一)