リレーエッセイ イワテライフの楽しみ方

伊吹有喜さん第1回(全4回)

 
生地にトチのハチミツを使っている『栃みつ焼き』。持ち帰りもできます

 私の「イワテライフ」は、盛岡を舞台にした小説『雲を紡ぐ』の執筆がきっかけで始まりました。数々のおいしいものが登場していますが、このたびはほかにも心惹かれた美味について、全4回でお届けします。

 第1回は藤原養蜂場の『栃みつ焼き』。

 トチのハチミツはこの作品の取材で知りました。琥珀色で香りが良くて濃厚。東北で愛されている味と聞きました。カリッと焼き上げたトーストによく合います。

 さて、ほかの地方では今川焼きや大判焼きと呼ばれるお菓子の名前が、藤原養蜂場では『栃みつ焼き』。数あるハチミツの中から選ばれるとは、本当になんて愛されているのでしょうか、トチのミツ。中身はあん胡桃、クリーム、ハムマヨ、チョコなどがあって毎回悩みます。

 この『栃みつ焼き』の売場にはハチミツが置かれていて、好きなだけかけられます。甘いお菓子にさらにミツ? 一瞬迷うかもしれません。でも、かけるのをおすすめします。ホットケーキにとろりとかけた時のように、大判焼きとの組み合わせは好相性。皮の黄金色の部分にハチミツがちょいとしみた感じなど、たまらなく好きです。とろけるような甘みに、思わず顔もとろけて笑ってしまい、憂いも疲れも吹き飛ぶのです。

 さて、次回はソフトクリームをご紹介します。

今月の人 伊吹有喜さん
出版社勤務を経て、2008年『風待ちのひと』で第三回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し作家デビュー。『ミッドナイト・バス』(2018年に映画化)、『彼方の友へ』が直木賞候補作となる。盛岡を舞台にした『雲を紡ぐ』の執筆のため、岩手県を何度も訪れた。