「東日本大震災の時に助けてくれた女性へ感謝を伝えたい」。盛岡市永井の団体職員小谷地朋美さん(35)から、女性との再会を願う声が特命取材班に寄せられた。釜石市内で生後1カ月半の息子と恐怖におののいた震災発生時、見知らぬ女性が優しく寄り添ってくれた。震災から11日で9年3カ月。女性の無事を祈り、「成長した息子の姿を見せたい」と思いを募らせる。

 2011年3月11日の同市只越町。大槌町内に住んでいた朋美さんは、赤子の長男爽多(そうた)君(現在見前小4年)を抱きかかえ、駐車場から市役所近くの眼科に向かって歩道を歩いていた。

 「地震だよ」。偶然居合わせた女性に声を掛けられ、立ち止まった瞬間、激しい揺れに襲われた。

 首の据わっていない爽多君を落とすまいとするが、思うように力が入らない。恐怖と混乱で、しゃがみ込んだまま動けなくなった。

 付近でビルの窓ガラスが割れる音が響いた。女性は「赤ちゃんの頭が危ない」と朋美さんの体を支えて寄り添い、近くの駐車場から駆け付けた会社員の夫昌彦さん(35)に2人を引き渡してくれた。

 女性は50代前後の風貌だったが、名前は不明。出会った場所周辺は津波の被害を受けた。