新トレ@花巻温泉

講座当日の新聞をテキストに、紙面の構成や読み方のこつを学ぶ花巻温泉の新入社員

多種多様な情報が盛り込まれている新聞は、顧客との会話に役立つ情報を得るのに最適なツールと言える。花巻市湯本の花巻温泉(安藤昭社長)は、新型コロナウイルスの感染症対策で臨時休業中の新入社員研修に岩手日報社のNIB講座「新トレ(新聞トレーニング)」を取り入れた。5月20日に開かれた講座では、受講生8人が新聞の効率的な読み方と会話への生かし方を学習。情報収集力とコミュニケーション力の向上を図った。

臨時休業、研修を拡充

共通の記事について、お互いに質問や意見を述べ合い会話力を磨いたワークショップ

 前半は岩手日報社の記者が紙面の基本的な構成や新聞の特徴を紹介した。「究極の要約」といわれる見出しやリード(前文)に注目することで、短時間で効率的に情報収集できることを説明。観光関連や地域の話題など、これから受講者が携わる業務に関わる記事が、どのように分類・配置されているか交えながら解説した。

 後半は二つの班に分かれてワークショップを行い、新聞記事を会話に生かす方法を学んだ。最初に10分間の速読に挑戦。教わった読み方のこつを生かして、興味のある記事や仕事に活用できそうな話題を探しながら読み進めた。

 続いて、選んだ記事を切り抜き、内容や選んだ理由を発表。「お客さまに伝えたら喜んでもらえそうな話題」「(県中総体の中止は)宿泊施設としても関係すること」など、それぞれ述べ合った。最後に指定した記事を全員で読んだ後、自分の考えを織り交ぜながら再度発表。会話のキャッチボールを通してコミュニケーション力を高める練習をした。

 営業統括部長・副総支配人の笠松繁樹さん(52)は「新聞を読むことは知識と教養を高めることにつながる。講座で学んだ読み方や活用法を生かして、新聞から世の中の動きを読み取り、お客さまとの会話に役立ててほしい」と期待する。


新聞は経営に不可欠

安藤昭社長に聞く

 花巻温泉の安藤昭社長(60)に新聞が新入社員育成に果たす役割について聞いた。

(聞き手=NIE・読者部 鈴木義孝)

「新聞は会社経営の判断になくてはならない存在」と語る花巻温泉の安藤昭社長

-新入社員研修に「新トレ」を取り入れた理由は。

 「新型コロナウイルスの感染症対策として4月下旬から5月末まで全4館を臨時休業した。スタッフの多くが自宅待機となったが、その間に何もしないのでは今後につながらない。社員向けに動画投稿サイトを通じ、研修用のビデオを流して役立てている。新入社員研修も同様に充実させ、社会の情勢、県内の情報に関心を持ってほしいと考えた」

-臨時休業を終え、6月1日から2館で営業を再開する。

 「世界も国内もコロナ禍は収束しておらず、すぐお客さまが戻るわけではないが、花巻市の支援(温泉宿泊施設の市民利用に助成)もあり、佳松園とホテル花巻の再開を決めた。最初は県外ではなく地元の方々が中心になるだろう。バラ園も5月30日に開園。入園前の体温測定、マスク着用など気をつけながら、万全の体制でお迎えしたい」

-自身と新聞の関わりは。

 「始業の1時間半~2時間前には出社し、地元紙と全国紙の計5紙に目を通す。特に岩手日報の県南面は必ず細かく読む。同業他社の広告も貴重な情報だ。朝一番に旬の情報を得て、大事な記事はコピーして幹部職員に配布している。情報はスピードが大事。当社のホームページにも早く新しい情報を載せるよう指示している」

 「地元の話題を知っておかないと、会合などで話がかみ合わない。新聞は会社経営の判断になくてはならない存在だ。特に岩手日報は県内全体の情報が詳しく載っており、助かっている」

-新入社員に望むことは。

 「毎年入社式の後、1時間ほど直接話す機会を設け、メモを取る習慣をつける、報告・連絡・相談を忘れないなど、社会人として最低限のことを伝えている。当社は接客や営業、調理、バラ園など幅広い担当があり、それぞれ奥が深い。学校を出て勉強を卒業したのではなく、これまで以上に勉強が必要だ」

-多メディア時代の新聞をどう見る。

 「やはり、特に1面が重要だ。その時々の一番大切なことが書いてある。時間がなく全ページを読めなくても、国内外、県内の社会人として知っておくべきことを把握できる。それにスマホやテレビと違い、新聞は文章を読む力がつく」

 「新聞は1面、社会面、スポーツ面のほか、読者の声や悩みを紹介する欄もある。社会情勢だけでなく生活に即した情報が多く含まれており、社員にはその奥深さを読み取れる力を身につけてほしい」


情報生かしておもてなしを・菊池 広夏さん

 新聞は大学で教材に使われ、大切さを教わったことがあったが、これまで継続的に読んだ経験がなかった。社会人として必要な情報が載っていることが受講して分かった。接客する際の対話の入り口として記事を生かし、心のこもったおもてなしがしたい。

一つの記事に多様な考え方・岩崎 ゆいさん

 新聞を読んで意見交換をするのは初めての経験だった。一つの記事に関してもいろいろな考え方があると分かり、とても良い機会になった。地域の情報や身近な話題を知ることができるのが新聞の良さ。記事から得た情報をお客さまとの会話に生かしたい。

接客に役立つ情報見つかる・小野寺望月さん

 これまで人と触れ合うのが苦手だったが、克服するためにこの仕事を選んだ。自分の力でお客さまを笑顔にしたい。接客する際に役立つ情報が新聞から見つけられることが分かった。いつか頼りにされる存在になり、困っている人を助けられるようになる。

相手に伝えたい話題を探す・田沢 麗紫さん

 見出しを読むだけでも短時間で記事の内容を理解できると知った。リードを読めばもっと詳しい情報も得られる。興味のある記事ばかりに目がいってしまうが、今後は好きな分野だけでなく、会話する相手に伝えたいと思う話題を探しながら読むようにする。

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