2020.05.11

地域密着の志、第一歩

新トレ@岩手銀行

記事を使って意見交換し、コミュニケーション能力を鍛えたワークショップ

 岩手の経済活性化に岩手の情報は欠かせない。岩手銀行の大卒新入行員は4月21日、盛岡市中央通の本店で、岩手日報社のNIB講座「新トレ(新聞トレーニング)」を受講した。県内外に赴任する48人が新聞の読み方を学び、記事を通したコミュニケーションで思考力や対話力を磨いた。

新入行員研修

 新入行員研修の一つとして昨年に続き新トレを組み入れた。当日の新聞が一人一人に配られ、岩手日報社編集局NIE・読者部の鈴木義孝部長が、各面の構成や見出しについて説明し、短時間で内容を把握できる読み方を紹介。地元企業の決算や人事、活躍する経営者を追った企画が掲載される経済欄のほか、地方欄にもビジネスにつながる地域情報があることを伝えた。

 後半の1時間は班に分かれてワークショップ。新聞記事を生かした情報収集と意見発表に挑戦した。まずは15分間、個々で見出しを追うことを意識しながら新聞を読み、興味を持ったり、仕事に生かせそうな記事を切り抜いた。その後、記事を選んだ理由や内容を班の中で発表し、「沿岸に赴任するので水産の記事が気になった」「原油価格の下落が県内経済にどう影響するか」などそれぞれの視点で語った。

 国内外や身近なニュースを題材として積極的に語り合う姿に、同行人事部人材開発室の千葉大樹調査役は「暮らしたことのない地域に赴任する行員も多い。情報収集やお客さまとの会話に新聞を活用し、地域に根ざして貢献してほしい」と期待を込めた。

 同行は新型コロナウイルスの感染予防として、例年行っている滝沢市の研修所での泊まり込みを原則取りやめ、期間を短縮して研修を実施した。マスク着用や衛生管理も徹底した。


確かな情報が不可欠

板沢人事部長代理に聞く

 岩手銀行の板沢貴典人事部長代理兼人材開発室長(48)に、銀行員として求められる情報収集・活用術を聞いた。

新聞を切り口にした研修の狙いを説明する板沢貴典人事部長代理兼人材開発室長

-「新トレ」を研修に取り入れた理由は。

「地域密着で仕事をする上で、地域の情報を知ることは基本。そのツールとして地元紙が一番有益なので、新聞の読み方、活用の仕方を学ぶことは得るものが大きい」

-新入行員は研修にどう取り組んだ。

 「それぞれ、これまで新聞を意識的に読むことは少なかったようだが、配属先の地域の話題を読んだり、気になった記事を切り抜きした行員が多かった。これから働く地域を身近に感じる機会になった」

 「ニュースについて考えを紹介する、コミュニケーションの実践も良かった。学生時代は情報をインプットする機会はあっても、アウトプットは多くなく、自分が得た知識を人に伝える練習ができた。研修としても最近は実践力養成を意識して組み立てている。インプットはウェブ学習などを通し個人でいつでもできるようになってきたので、全体研修の際にはアウトプット、実践を重視している」

-新聞を読む意義は。

 「いろいろな情報ツールがある中で、新聞は確実性や信頼性がある。新入行員には地元紙や経済紙を読み、確かな情報を持つよう伝えている。今は情報があふれ、人工知能(AI)が発達し、ネットからは検索履歴を反映した情報が伝えられる。自分が得る情報が興味や好みに偏らないよう、多様な記事が掲載されている新聞は有用だ」

 「研修中には毎日、新聞を読んで、班ごとに朝礼の時間に気になった記事を発表し共有している。まずは記事を読み、自分に必要なものを見る目を養いながら、社会人としてアンテナを広げ、意識を高めている」

-銀行員として必要な能力や姿勢は。

 「いくつかあるが、コミュニケーションという分野では、傾聴力と発信力が必要だ。お客さまの悩みや課題を把握して対応していくことが大切で、しっかり話を聞き、考えを伝える力が求められる。銀行員は事務のイメージが強いかもしれないが、お客さまとの対話が多い。共通話題として地域の情報を収集することは欠かせない」

 「地域に根ざした銀行であり、個人としても地域に根付き、地域を好きになって、地域のためにという思いで仕事をしてほしい。主体性は当然必要だが、主体性は自ら考えて取り組むことで生まれ、そのことで当事者意識や責任もついてくる。いろいろなことに好奇心を持ち、何事にもチャレンジする姿勢を持ってほしい」


対話の引き出し増やす・中谷映美さん

 窓口業務を担当する。お客さまとの共通の話題が必要で、引き出しを増やすのに新聞が役立つことが分かった。銀行は地域の身近な方々と深く関わる生活に必要なもの。日々のニュースを頭に入れ、お客さまの気持ちに寄り添うことができる銀行員を目指す。

地域の話題知るために・熊谷凪紗さん

 銀行員としてコミュニケーション能力を磨く必要があり、そのツールとして新聞が役立つことを実感した。岩手日報には、ネットでは見られない地域ニュースがたくさん掲載されている。お客さまが住んでいる地域を知るために情報を収集していく。

多角的な考え方を実感・斉藤優斗さん

 見出しや記事の構成を学び、短時間でも効率的な読み方を知ることができた。ワークショップでは、同じ物事でも人によって考え方が違うということを実感した。一つの考えに凝り固まらず、物事をさまざまな角度から見ることのできる社会人になる。

深く記事を読み取れた・菊地哲平さん

 ワークショップでは、普段の流し読みではなく、メモを取りながら深く記事の内容を読み取れた。以前、SNSの間違った情報に惑わされることがあり、ニュースの信ぴょう性について考えるようになった。確かな情報を活用し、影響力のある仕事がしてみたい。

朝10分間の情報収集を・細川希佳さん

 ニュースについて自分の意見をまとめ、相手に伝えるという実践的な講座だった。普段新聞を読むのに時間がかかっていたが、見出しを意識することで短縮ができた。朝の10分間の情報収集を大事にして幅広い年代のお客さまに会話や提案ができるようにしたい。

仕事のアイデアが満載・及川啓さん

 新聞は読み始めるまでのハードルが高かったが、毎日継続するうちに面白くなったし、全部を読まなくても十分な内容を把握できることを知った。地域欄には企業や行政の話題もあり、仕事のアイデアが詰まっている。赴任する地域の情報源として役立てる。

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