新トレ@県薬剤師会検査センター

 職場のマネジメントに忙しい管理職。朝は素早く業務に役立つ情報を集め、各種文書は手早く処理したい。盛岡市上堂の県薬剤師会検査センター(嶋弘一所長)は1~3月、管理職らの研修に岩手日報社のNIB講座「新トレ(新聞トレーニング)」を取り入れた。受講者は効率的な新聞の読み方や簡潔な文書作成法など、新聞を業務効率化や営業力強化につなげる手法を身に付けた。

管理職ら研修 読み方、文書作成学ぶ

新聞を使ったコミュニケーションの手法を学んだ県薬剤師会検査センターのNIB講座

 課長級の職員ら6人が受講。毎月1回の講座で、短時間で新聞を読むこつ、記事の文体を生かしたビジネス文書、記事を話題にしたコミュニケーションについて理解を深めた。

 スタートの1月15日は新聞速読法。本社記者が、短時間で読めるように工夫された紙面構成、見出し、記事の文体を解説した。新聞のつくりを理解した受講者は10分速読に挑戦。「意外と楽に読み進める」とパラパラと紙面をめくり1面から最終面まで目を通した。

 記事を要約し見出しを作るワークショップは、キーワードを見抜き、主語と述語に注意して限られた字数に要点を収める練習。「見出しと要約を気にしながら読むことが『短時間で的を外さない読み取り』『伝えるべき事柄を押さえた文章を書く力』につながる」と記者がアドバイスした。

興味を持った新聞記事を切り抜き、意見交換する受講者ら

 2月17日の第2回講座は記事の書き方を生かしたビジネス文書作成法。新聞記事が、見出し、リード、本文の3要素で構成される点に注目。ビジネス文書に置き換えると主題、要点、詳細情報。主題と要点で内容の8割が把握できることがポイントとされる。記事を読む習慣が顧客を引きつける提案書や簡潔な報告書の書き方を養う。

 ワークショップはコラムの要約。受講者は「構文を短く、単純にすることが分かりやすい文書の秘けつ」と実感。スタッフが書く文書への助言に生かす。

 3月23日の最終講座はコミュニケーション。テキストとして2カ月読み続けてきた新聞から業務に関連する記事を4、5本持ち寄りグループで紹介。新聞は多種多様な情報を掲載し、日々の仕事や営業に生かせる記事が多いことを再認識し、模造紙に切り抜きを貼り付けながら会話を弾ませた。

 林勘一郎総務課長は「セクションの違う管理職が集い、社内のモチベーションを上げる機会になった。講師派遣料がテキストの新聞代に含まれるのも魅力。『今日はこんなニュースがあるよ』など職場での情報・話題提供や会話力の向上に役立ててほしい」とスタッフの指導に期待する。


地元の新聞で地域知る

宮手義和参与インタビュー

 職員に求められる情報収集力などについて、同センターの宮手義和参与に聞いた。

「営業力を強化するためには、どう情報を得るのかが重要」と受講の狙いを説明する宮手義和参与

-「新トレ」受講を決めた理由は。

 「検査センターは1973年の開設。当時は公害が大きな問題になっており、県だけではなく、県薬剤師会の立場から河川水などの環境検査を行い、県民の健康を守るのが狙いだった。国、県、市町村の指定機関として環境や水道水、食品などの検査をしてきたが、2004年度の規制改革以降、次第に業者間の競争が強まった。営業力を強化するためには、どう情報を得るのかが重要だ。やはり地元の新聞をしっかり読めるようにならないと、地域で何が起きているのか分からない」

 

 

-営業力向上に結びつく記事とは。

 「自治体の予算点検の記事では、土壌調査をする可能性のある新施設について触れていることがある。食品の新商品が発売されるときには栄養成分表示の分析が必要かもしれない。新聞は多種多様な情報が載っており、世の中がどう動いているのか気付くきっかけが見つかる」

-多メディア時代の新聞をどう見る。

 「インターネットの情報は早くて便利だが、新聞は誤字脱字がなく、裏づけがある公正な文章で書かれており、しっかりとした出版物だ。報告書などを書くときに、確信を持って参考にできる」

-受講者への期待は。

 「良い文章を書ける人ほど、多くの文章を読んでいる。たくさんの文章に触れるには、まず新聞を毎日読むのが一番だ。仕事に発展しそうな情報を読み取り、さらに自分の文章の表現力を伸ばせるように今回の訓練を生かしてほしい」


見出し見て記事理解・宮崎陽子さん

 以前は自宅で新聞を購読していたが、忙しい時でも全部読まなければいけないと真面目に考えてしまい、ストレスを感じていた。読み方のこつを学び、見出しに目を通すだけでも記事の内容を知ることができると教わり、気持ちが楽になった。興味がある記事だけでなく、仕事の目線を意識して新聞を読むことで、業務に関わる記事が多く扱われていることにも気付くことができた。

文章力向上に役立つ・岩崎大輔さん

 これまでの新聞の読み方は、見出しを読んで興味があれば中身を読み進めるという感じだった。講座を通して、記事を最後まで読まなくても、要約されている前文(リード)を読めば内容が理解できることが分かったので、最低限読むようにしたい。新聞は、文章のまとめ方を学ぶ上でも役に立つと感じた。接続詞を多用して文章が長くなってしまうので、簡潔に書くように意識したい。

報告書作りの参考に・佐々木知美さん

 今回の講座を受講して、これまでぱらっとしか新聞を読んでいなかったことを再認識した。仕事に関わる記事は読んでいたつもりだったが、気付いていなかった細かい記事にもたくさんの情報があることが分かった。内容も幅広く充実しているので、会話をする上で話題づくりに生かしていけそうだ。大切なことを簡潔に伝える新聞記事の書き方は、報告書などの文書作成の参考になる。

会話の引き出し増加・上山誠司さん

 紙面の読み方のポイントを教えてもらい、効率的に情報を得られるようになり時短になった。他のメディアに比べて新聞の情報は量が多い上に、奥深く書かれている。営業先との会話の引き出しが増えることに手応えを感じている。地域の新施設完成、新商品開発など、仕事に結びつく記事を探して読むようになった。自宅でずっと購読してきたが、受講を機に新聞との関わり方が変わりそうだ。

「風土計」 表現に工夫・須藤善幸さん

 これまでも新聞は毎朝ざっと読んでいたが、受講後は1面のコラム「風土計」に必ず目を通すようになった。たくさんの伝えたいことを短い文章で表現する工夫が詰まっている。講座では見出しを付ける部署の話も聞けて興味深かった。情報の信頼性、正確さで新聞に勝るものはない。営業を担当しており、その日の記事を糸口に顧客との会話が広がれば、よりよい仕事ができそうだ。

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