全国の中でも市民劇が盛んとされる本県。近年は沿岸部にも広がり、県内18カ所で取り組んでいる。力を合わせて作り上げる中で地域の絆が育まれる一方、本紙特命取材班には「衣装や大道具などが素人の域を超え、無理が生じているのでは」と、在り方を問う声が寄せられた。「いいものを懸命に作ってこそ」という思いが強いほど、長期間の練習や大ホールを埋めるためのチケット販売など、負担も増すのが演劇のジレンマ。地域に合った在り方の模索が続いている。

 宮古市では2018年にみやこ市民劇がスタート。今年は2月に第2回公演「鍬ケ崎エレジー 激闘!宮古港海戦」を上演した。戊辰(ぼしん)戦争中の宮古港海戦を舞台にした大スペクタクルに2日間計1600人が訪れ、大盛況で幕を閉じた。

 脚本は盛岡市の作家に依頼し、史実に基づいた衣装や小道具は修正を繰り返した。公演が近くなると稽古は週3回程度まで増え、軍艦など大がかりな舞台装置も時間と労力をかけて作り上げた。事業費は国補助約150万円を含む約400万円に上った。

 地域の支持を得て演劇が根付いていくには、質の高い作品づくりが一番。県内には小規模、低予算でも住民手作りで素晴らしい舞台をつくり上げている地域もある。1950年設立で、現在50~70代の8人で構成する西和賀町の劇団ぶどう座は、脚本を設立メンバーの川村光夫さんの作品から選び、演出なども基本的に過去の舞台を踏襲する。

 一方、稽古は4~12月に毎週1、2回、各約3時間みっちり行い、小さくてもハイレベルな演劇を守る。年間予算は約40万円で、補助金に頼らず出演料などで賄っている。