新型コロナウイルス感染症が拡大する中、本県は春の登山シーズンを迎えた。国内関係団体が自粛を呼び掛けていることもあり、例年は29日に山開きを行う県内の山を訪れた人はわずか。滝沢市の鞍掛山(897メートル)の登山客は例年の1割程度で、釜石、大船渡、住田の3市町にまたがる五葉山(1351メートル)も少なかった。「庭」のように登る地元の愛好者からは戸惑う声も漏れるが、関係団体は遭難への対応も念頭に自粛を要請。山にも警戒と困惑が広がっている。

 岩手山を背にした登山客で例年埋まる鞍掛山の山頂は、静まり返っていた。山開き行事は中止となり、登山客は景色を楽しんだ後、密集を避けるように下山。マスクを着けた人もいた。

 自粛を求める掲示がされた登山口駐車場の車約35台は、全て県内ナンバー。滝沢市外山の会社員男性(41)は「最盛期に岩手山を登るのはためらうが、鞍掛山は散歩の延長みたいなもの。県境を越えるわけでもないので、自粛はどうか」と腕を組んだ。

 一方、毎年鞍掛山に登る登山ガイドで八幡平市大更の理容師畠山聖徳(きよのり)さん(38)は自粛中。「安易に登り事故になると医療機関に迷惑をかける。山は自己責任ではあるが、今の責任は重い。山は無くならない。山好きなら我慢できるはずだ」と思いを語る。