新型コロナウイルス-。支局に着任して約1カ月がたち、自身の記事を読み返すと、この言葉が随所に現れる。活発な地元経済は一転、先の見えない「暗」の渦中にあるが、「明」の兆しも感じている。

 北上商工会議所が3月に行った調査では、国の緊急事態宣言発令前にもかかわらず、既に影響が出た会員企業が59%。宿泊、飲食業の打撃は大きく、県内有数の歓楽街・青柳町を歩くと、休業の張り紙が目立ってきたことに事態の深刻さとさみしさが交錯する。

 盛んな製造業は面会取材を断られ、電話でやりとりすることも多々。全国唯一の「感染者未確認県」を支える各社の苦肉の策でもあるが、仕事において人と会うことを最重視する私にとっては複雑な心境になる。

 一方の「明」は、困難に立ち向かう人々の知恵と工夫、そして前を向く姿勢だ。印象的なのは、得意のインターネット通販で販路拡大を支援するプロジェクトをいち早く立ち上げた地元企業「ごえん」の取材。同年代の幹部は終盤、ノートを閉じるのを遮るように語気を強め、こう語った。

 「ピンチは必ずチャンスに変えられる。そのお手伝いがしたいんです」

 困難の先には希望がある。そう信じて、北上地域が直面する今と明日を住民目線で報じていきたい。

(稲垣大助)